感情などないはずの魔物は心持つ優しき少女へと成長

全82話完結です。
本作は逃亡編とあるように「流転する太陽」の序章に当たる部分です。

物語の主人公はデルグレーネという魔物の少女です。
彼女の誕生過程は実に興味深く、この部分を読むだけでも、本作が純然たる本格ファンタジーであることが分かります。
当然、流行りの要素はありません。魔法等の描写は分かりやすく書かれていますが、どちらかというと重厚でデルグレーネの内面に深く切り込んだ、昔書籍で読んだ海外ファンタジーに通ずるものがあります。

物語はデルグレーネを中心に展開されますが、彼女の周囲に登場するキャラクターもまた魅力に満ちています。
三人の管理者、魔物の世界での強敵たち、そして世界を越えていった先で出会う人間たちです。

イレギュラーとして排除される運命にあったデルグレーネが、殺戮だけの生活から人間としての心を持つに至る中で、どんどん変化していきます。
特にラスト数話は涙なしでは読めないというぐらい、彼女に感情移入してしまうほどです。

最後に彼女を待つ運命はいかに。そして「帝都炎上編」(レビュー時点で全7話)へと繋がっていきます。

★が少なすぎるのが納得できないほどの素晴らしい本作です。
是非ともこの機会に手に取り、一読してください。

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