互いに想い合うが故の、呪いと救いの物語

この物語は、鬼族の屋敷に勤めるリューリュという娘が、幼馴染の侍シュンゴウに引きずられて奥座敷へ連れていかれるところから始まります。
知らない世界であるにも関わらず、どこか懐かしさを感じさせる世界観。
鬼族と人間の関係。
それらを自然と認識させてくれる冒頭部分で、あっと言う間に物語の中へと誘(いざな)ってくれます。

鬼の姫の身を危ぶませる呪いの力。
彼女を助けたいと願う、ふろたきの娘リューリュ。
それを助ける幼馴染や同僚。
次第に姫である鬼鏡とリューリュは心を通わせていきます。
彼女たちの穏やかな光景を見ながら、読者はいつまでもこのままでと、心から祈りたくなることでしょう。

文章には落ち着きがあり、その表現方法は、独自の世界観をより深めていると感じます。
ぜひとも、この哀しくて温かい物語を体感してみていただきたい。
終盤に明かされる真実を、ぜひその目で見届けていただきたいと思います。

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