これは創作なのか、それとも現実か——

 本作では、悪名高きナチスが主人公マルコの怨敵として描かれています。それだけなら歴史を織り交ぜた単なる復讐譚に思えますが、本作は少し違う。前線に送り込まれた人造人間や、華麗に刀剣を操る人物が登場し、物語は一気にSFの風味を醸し出します。

 そして、この物語のいいところはまだ終わりません。前述したナチスや、のちのち名前が出てくるあの人物の名前など、知っていると「あっ!」と驚かされるような仕掛けがたくさんあります。

 もしかしたら、本当にこんなことがあったのかも……と思わせるような技巧が素晴らしいです。

 SF好き、歴史好きはもちろん、ダークなファンタジー好きにもお勧めしたい作品です。

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