自分を知るには

 枯れた味わいの主人公が、咲き誇る桜を目にするという対比の妙。これだけでも本作を読む値打ちがある。

 奇も衒(てら)いもない文章でつづられる主人公の心境は、私のような五十男には非常によく理解できるものだった。

 必読本作。