本を愛する者にとって、この世で許せないことは本を傷つけること。タイトルの本を喰むという字に、少なからず衝撃を受けた読者は私だけではないはずです。しかしながら、好奇心に身を委ねてページを開いた瞬間、美しいと思わずにはいられません。本に興味のない店主と、本を食べる呪いをかけられた少年。本好きからしてみれば最悪な二人にもかかわらず、最高の読書体験をさせてもらいました。
文字を食べる少年と、本に興味のない書店主。正反対の方向を向いている二人はやがて、些細なことでつながっていきます。本と本屋、文字と文章、絵。さまざまなものが絡み合って、ひとつの物語が出来上がる。自分の居場所を探すことは一冊の本を探すことに似ています。読む人全員に、幸あれ、と思う物語です。
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