BingAIさんにKAC2023のお題で小説を書いてもらってみた。

 パラメータにこだわらない場合、やっぱりBingAIのほうが小説に関しても優れているように思います。こちらは「深夜の散歩で起こった出来事」というテーマで書いてもらったものを私が手直ししました。7割BingAIさん3割私くらいな塩梅です。オチの部分はあらすじで回答してもらった(回数制限があるので)ものを参考に書きました。


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 夜中に目が覚めた俊介は、眠れないままベッドから起き上がった。部屋は暗く、窓からは月明かりが差し込んでいるだけだった。俊介はスマートフォンを手に取り、時刻を確認した。午前二時半。ふと思い立った彼はスウェットの上からジャケットを着て、靴を履き、玄関を出た。


 外は冷え込んでいたが、空気は澄んでいて気持ちが良かった。俊介は近所の公園に向かって歩き始めた。人通りも車通りもなく、静寂が広がっている中で、彼の足音だけが響いていた。


 公園に着くと、俊介はベンチに腰掛けて周囲を見渡した。木々や花壇や遊具が月光に照らされて幻想的な光景を作っている。しばらく眺めてから再び歩き始めようとして、俊介は思わず動きを止めた。


 一人の女性がブランコに乗って揺られている。白いワンピースを着ていて、長い黒髪を後ろに束ねていた。彼女は俊介に気付いていない様子で、俊介もまた今まで彼女に気付いていなかった。俊介は運命的な何かを感じて、彼女に声をかけた。


「こんばんは。こんな時間に一人でブランコですか」


 女性は驚いたように振り返った。彼女の顔は美しく、瞳は深く、唇は赤かった。


「あら、こんばんは。あなたもこんな時間に散歩ですか」


 女性は笑顔で答えた。彼女の声は甘く、魅力的だった。


「ええ、そうです。眠れなくてね」


 俊介が自己紹介すると、彼女は美咲と名乗った。


「美咲さんというんですね。素敵な名前です」


「ありがとうございます。あなたも素敵です」


 二人はすぐに打ち解けて、話し始めた。趣味や仕事や家族や夢について。美咲は俊介の話に聞き入り、時々笑ったり感心したりした。俊介も彼女の笑顔や仕草に惹かれていった。二人は公園を散策し、自然と手を繋いだ。俊介は恋に落ちていた。


「あなたと出会えて本当に良かった」


 美咲は俊介にそう言った。


「僕も同じです。こんな偶然の出会いがあるものなんですね」


 美咲は、ふっ、と切なげな表情を見せた。


「あの……」


「何です?」


「私、実は……」


 美咲が言おうとしたその時、突然公園の明かりがパチパチと明滅した。


「えっ?」


 俊介は驚いて周りを見回した。まばたきの一瞬で美咲を見失った。公園をぐるりと見回しても彼女の姿はない。


「美咲さん?美咲さん!」


 しかし、返事はなかった。


「どこにいるんです、美咲さん!」


 俊介は混乱して頭を抱えた。「そんなばかな……」そして、思い浮かんだのは、恐ろしい可能性だった。


 彼女は実在しないのではないか?

 幻、妄想、夢、あるいは……幽霊。


 そんなことがあるわけないと思う一方で、俊介は否定しきれなかった。


 彼女は一人でブランコに乗っていた。公園に来てすぐに見回したとき、気付かないなんてことがあるだろうか。

 突然話しかけてきた男にすぐ心を開く女性なんているだろうか。

 あまりにも都合が良過ぎやしないか。


「美咲さん……」


 俊介は涙がこぼれるのを感じた。たとえ妄想だとしても、彼は彼女を愛していた。彼女と一緒にいたかった。彼女と幸せになりたかった。


「美咲さん……!」


 その時、奇跡が起きた。


「……俊介さん」


 どこからともなく、美咲の声が聞こえた。


「美咲さん!?」


「俊介さん……ごめんなさい……」


「何を謝るんですか?美咲さん、どこです?」


「私……もうすぐ消えてしまいます……」


 美咲の声は、すべてを語り始めた。自分がこの公園で何年も前に殺されていることを。彼女はその日、恋人と待ち合わせをしていたが、彼は現れなかった。代わりに、彼女をストーカーしていた男が現れて、彼女を襲ったのだ。必死の抵抗むなしく、深々とナイフを刺され、ブランコの下で息絶えた。


 彼女の魂は成仏できなかった。せめて一目、恋人に会いたくて、公園に留まってしまったのだ。しかし、その願いは叶わなかった。彼はすぐに他の女性と結婚して、遠くの町へと引っ越してしまっていた。


 美咲は悲しみと怒りと孤独に苛まれながら、公園で幽霊として過ごした。誰も彼女に気づかなかった。誰も彼女に話しかけなかった。誰も彼女を愛してくれなかった。


 それが、まさに美咲の命日であり、約束の日でもあった今夜、公園にやってきた俊介は美咲に気付き、話しかけ、愛情の眼差しを向けてくれた。


 長い間、孤独に苦しんだ彼女にとっては、それで十分だった。


「ありがとう……俊介さん……」


 うっすらと闇に浮かぶ美咲の姿を俊介はついに見つけた。


「美咲さん!」


 しかし、彼女は消えてしまった。伸ばした俊介の指先に、淡雪のような涙の感触を残しながら。


 ――それから毎年、俊介は美咲の命日にその公園を訪れた。花を捧げてブランコに腰かけ、一年の出来事を報告した。不気味に思う人もいたが、彼は気にしなかった。やがてすっかり年老い、ブランコに揺られながら話している途中に、彼は心臓発作で亡くなった。しかしその顔は安らかで喜びに満ちていたという。ようやく彼は、彼女に再会できたのだった。

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