これはぜひ映像で見てみたい作品
- ★★★ Excellent!!!
読後、目に浮かぶシーンは一面満開の桜です。
物語の根底を流れるテーマは宇宙葬、そして安楽死。いずれも近い将来、実現することでしょう。そのテーマから私が想起していたのは、ひたすら冷たく息詰まるモノクロのイメージでした。
しかしこのお話は違います。
冷たいテーマの上に人と人の思いが重ね合わせられると、途端にカラフルな世界が広がります。
親から子へ伝えられた光景は、華やかな満開の桜。
その光景を再現するために奔走する宇宙葬企業の職員。
起伏あるストーリー展開に振り回される職員の真摯な思いと努力に胸が熱くなります。
描かれる断片はディストピア(特に日本にとっては)かもしれませんが、その中で生きる人々の力強く、また連綿と未来へ続く希望を感じました。