これはぜひ映像で見てみたい作品

読後、目に浮かぶシーンは一面満開の桜です。

物語の根底を流れるテーマは宇宙葬、そして安楽死。いずれも近い将来、実現することでしょう。そのテーマから私が想起していたのは、ひたすら冷たく息詰まるモノクロのイメージでした。

しかしこのお話は違います。
冷たいテーマの上に人と人の思いが重ね合わせられると、途端にカラフルな世界が広がります。

親から子へ伝えられた光景は、華やかな満開の桜。
その光景を再現するために奔走する宇宙葬企業の職員。

起伏あるストーリー展開に振り回される職員の真摯な思いと努力に胸が熱くなります。

描かれる断片はディストピア(特に日本にとっては)かもしれませんが、その中で生きる人々の力強く、また連綿と未来へ続く希望を感じました。

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