第二十節 再び、青栁本家【槇と檀】

第四十二話 槇と檀

 まさきたち一家が帰り、青栁あおやぎ本家には静寂が訪れた。

「無事に還ったな」とまきが言う。水鏡を見ながら。

「ひとまずは、安心かと」とまゆみが応える。

 まきは視線を、水鏡から夜空に輝く満月に移した。

 そして、思う。

 どうも、あきらがあちらに行きそうだな、と。――それはいいことだ。本家としても、あちらの状況がリアルに分かるのは、メリットがある。


 まきは水鏡に視線を戻し、まゆみに言う。

「ところで見たか? みなとが」

「ああ。――見た」

「湊が水鏡に五色ごしきの地を映していた――」

「やはり、直系の血筋は強い」

「彬と蘇芳の子どもなら、よほど強いだろう」

 楽しみだな――



 群青色の空に大きな満月が光を放っていた。

 人間のあらゆる思惑を照らし出すかのように、銀色に輝いていた――





「朱火の土地守りの章」了



*次章の前に、この話のすぐあとの彬と蘇芳の甘い話を書く予定です。

*次章は「白金の土地守りの章」です。

 五色の地が舞台となる予定。よろしくお願いします!

 



                                

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五色の土地守り 西しまこ @nishi-shima

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