ヒストリカルでポリティカル。傑物王女様と彼女の従者の物語

この小説のジャンルは? と問われれば答えるのがとても難しい。

胸踊るファンタジー? 知略を巡らす内政物? 美しさと切なさ溢れる王宮ロマンス? 本作はそのどれでもあり、どれでも無いと思う。あえて言うならば女性でありながら傑物である彼女の伝記である。

近代のヨーロッパ西洋諸国に似た異世界を舞台に、王族の定めとして、他国に嫁ぐ事が宿命づけられていた主人公シャーロットが、自らの意思で立ち、自国のみならず他国も引っかき回しながら、望みのために強く生きていく姿がいきいきと描かれている。

脇を固めるキャラクタたちも魅力的だ。物語世界ご実際に存在しているように、一人一人が生きている。そこには政治的な駆け引きがあり、思想ゆえに敵対する人々もいたりして、危険もある。

だけれど、主人公シャーロットのそばにはいつでも無二の従者グラムが居る。彼は英雄と呼ぶに相応しい。

王女シャーロットと英雄グラム。
ヒストリカルな側面もありながら、2人の恋愛物語としても非常にエモい。心が締め付けられる。

本当に、この小説の良さは読まなくてはわからないと思う。他に類する小説が無い。例えられない。
この物語でしか得られない体験があるので、ぜひ読んでみてほしい。

非常に解像度の高い、1人の王女とその従者を通してみる物語世界が魅力だ。

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