そこにある、彼女たちの階段。

夢中で登ったはずの階段を、下りてから。

そのテーマを自分と重ねて、将棋についてはルールさえ知らないのに、
乃子たちの気持ちを、この先を知りたいと強く思います。

作者様の、飾らない、飾らないぶん、直接、けれど静かに胸に響く筆。
乃子たちは、次はどう駒を動かすのでしょう。
あるいは、動いていくのでしょう。

ささやかな日常場面の描写も丁寧で、
気持ちを落ち着けて読むことができます。

階段は、下りても消えない。登るも下りるも、留まるも。
だから、迷う。迷いが続くその描写が、しみ込むように伝わってきます。

とても好きな物語です。