概要
どちらが不幸か。お前は知ってる?
迷い込んだ異世界の大精霊。
時は鎌倉末期。楠公が天子様を奉じた頃。
ずっと前から待ってた……うん、百年とか二百年とか、もっとかも。そういう感じで。
花が綺麗でね。見てたの。桜って言うんだってね。あとで知り合った男の子が教えてくれた。
見ながら待ってた。この世界は魔力が薄いから。
満たされるまで。
結局ね、魔力は満ちても、満たされなかった。
涙だけがいっぱい溢れた。
だからずっと待ってた。また長い時間。
千年は経っていないと思うけど。
ねぇ、また来てくれたの?それとも違うの?