第9話
次の日の午後2時過ぎであった。
またところ変わって、
テーブルの上には、緑茶が入っている砥部焼きの湯のみが置かれていた。
ヨリイくんの奥さまは、ものすごくつらい声でそのみにキュウジョウを話した。
ヨリイくんの奥さまの話をひと通り聞いたそのみは、ものすごく困った声で言うた。
「話はひと通り聞いたけど…あなたはどうしたいのよ?」
「どうしたいって…」
「ヤクザからおどしを受けたことをセートーハの弁護士さんに相談した方がいいわよ。」
そのみは、ヨリイくんの奥さまに対してセートーハの弁護士さんに早く相談するようにと言うた。
しかし、ヨリイくんの奥さまはものすごくつらい声でそのみに言うた。
「できたらそうしたいわよ…だけど…弁護士さんは…いそがしいから…」
そのみは、ものすごく困った声でヨリイくんの奥さまに言うた。
「それじゃあ、いつになったら相談に行くのよぉ〜」
ヨリイくんの奥さまは、ものすごく見苦しいいいわけを言うた。
「だから…そのうちに行くわよ…」
「すぐに行きなさいよ〜」
「すぐには行けないのよ!!そのうちに行くと言うたらそのうちに行くのよ…」
「どうして?」
「どうしてって…うちらに落ち度があるからです。」
そのみは、ものすごく困った声でヨリイくんの奥さまに言うた。
「もう一度最初から聞くけれど…ヨリイくんの様子がおかしいと気がついたのはつい最近のことよね。」
「はい。」
「あなたは、きのうヤクザの男からヨリイくんがマタハラを犯したことを聞いた…他にも…ヤクザの男は…どんなことを言うてあなたをおどしたの?」
「たしか…リバースモーゲージのことだった…と思う…主人が担当していた契約者さまの娘さん夫婦の家族が殺された事件のことをネタに出してきたわ。」
「きのうの『めざましテレビ』(朝の情報ワイド番組)でいよったアレ…よね。」
「はい。」
そのみは、緑茶をひとくちのんでからヨリイくんの奥さまに聞いた。
「奥さま。」
「はい。」
「ヨリイくんがリバースモーゲージの担当になったのはいつ頃?」
「6ヶ月前よ。」
「6ヶ月。」
「前の担当者が赤坂(東京都港区)の(東京スター銀行の)
「それじゃあ…引き継ぎが完了したあとからおかしくなった…と言うこと?」
「たぶん…そうだと思います…その頃から…もめごとが多発したのです。」
「亡くなられた契約者さまの娘さん夫婦からクレームの申し出があったと聞いたけど…他の契約者さまのご家族からもクレームの申し出はあったの?」
そのみの問いに対して、ヨリイくんの奥さまは泣きそうな声で答えた。
「あったと思う…ものすごく深刻なクレームばかりだった…」
「ものすごく深刻なクレームって?」
「だから…主人が
「それが原因で、深刻な事件が起きたのね。」
「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」
ヨリイくんの奥さまは、くすんくすんと泣きながらそのみに言うた。
「うちがいかんのです…夫婦ともかせぎで…うちが仕事仕事仕事仕事仕事仕事仕事仕事仕事仕事仕事仕事…と言うて…主人を置き去りにしたから…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…主人は…すさんでしまった…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…主人がマタハラを犯した原因もうちにあるのよ…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…うちがシキュウキンシュにリカンして…シキュウを(手術で)摘出したから…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…うちは…どうやっておわびをしたらいいのか…分からない…」
その後、ヨリイくんの奥さまはよりし烈な声で号泣した。
ヨリイくんの奥さまは、そのみに対して1000万円を貸してほしいと言おうとしたが、激しく号泣していたので言うことができなかった。
時は、午後3時過ぎであった。
またところ変わって、
(キンコンカンコーン…)
この時、
ヨリイくんの娘さんは、ヨリイくんの奥さまがお迎えに来るようになっていたので学校内にいた。
しかし、予定の時刻を大きく過ぎていたので娘さんはひどくソワソワとしていた。
娘さんは、その後ひとりで正門から出た。
それから数分後であった。
(グオーン!!キーッ!!バタン!!)
この時、黒のマツダボンゴバンが急停車した。
車の中から、4〜5人の男が飛び出したあとヨリイくんの娘さんを無理やり車に乗せた。
「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
ヨリイくんの娘さんはし烈な声で泣き叫んだが、男たちは娘さんを車の中に押し込めた。
(キキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキ!!グオーン!!グオーン!!グオーン!!)
その後、車は現場から逃走した。
それから60分後であった。
ヨリイくんは、国道54号線沿いの歩道をフラフラとした足取りで歩いていた。
この時、ヨリイくんの気持ちはものすごくだらけた状態で生きる気力をなくしていた。
仕事に失敗したことに加えて、家族との関係が悪化した…
他にも、悩み事をたくさん抱えていた…
それから数分後であった。
ヨリイくんは、フラフラとした足取りで信号機がある横断歩道を渡っていた。
この時、歩行者用の信号機は赤であった。
ヨリイくんは、信号機を見ずに横断歩道を渡っていた。
その時であった…
(キーッ!!ドスン!!)
ヨリイくんは、走ってきた白のセダンにはねられて亡くなった。
(キキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキ!!グオーン!!グオーン!!…キーッ!!ドスン!!バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!ガシャーン!!)
白のセダンは、猛スピードで走り去ったあと200メートル先にある交差点でトレーラーと追突して大破した。
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