【辛口ホームドラマ】紅（あか）いろうそくと人魚

第１話

時は、2023年６月の大安吉日（だいあんきちじつ）の日曜日の昼過ぎのことであった。

場所は、鞆（とも）ノ浦（うら）（広島県福山市）にある料亭の奥座敷にて…

奥座敷では、結婚披露宴が催されていた。

結婚披露宴（ひろうえん）の主役は、村前徳広（むらさきのりひろ）・しのぶ（70代）の夫婦の次男・温大（はると）（41歳・大学の研究室勤務）と嫁・永眞（えま）（39歳）であった。

結婚披露宴（ひろうえん）に出席しているみなさまは、村前（むらさき）の家の親類縁者たちだけであった。

永眞（えま）の親類縁者たちは、全員ソエンになっているので出席していなかった。

それでも、結婚披露宴（ひろうえん）はなごやかな雰囲気をたもつことができた。

徳広（のりひろ）しのぶ夫婦は、満面の笑みで結婚披露宴（ひろうえん）を見つめながらつぶやいた。

温大（はると）と永眞（えま）さんが結婚できてよかったわ…

温久（はるひさ）（長男・52歳・銀行員（エリート））と新月（しづき）（三男だが徳広（のりひろ）のセクハラで被害を受けたＯＬの子・30歳）は温大（はると）のためにがまんしてもらおうか…

そうよね…

温久（はるひさ）と新月（しづき）は、独身でいる方が気楽でいいと言うてたよね…

うん、言うてたわよ…

そうだな…

温久（はるひさ）と新月（しづき）のことを思ってくださる相手はひとりもいないから、待つだけムダよね…

そうだな…

徳広（のりひろ）しのぶ夫婦は、家の嫁はふたり以上はいらないとつぶやいたあと、満面の笑みで結婚披露宴（ひろうえん）を見つめていた。

徳広（のりひろ）しのぶ夫婦は、温久（はるひさ）と新月（しづき）自身が独身で通すと言うたので嫁さんは必要ないと言うた。

しかし、温久（はるひさ）と新月（しづき）自身は、生涯独身で通すことを望んでいるのかと考えたくなる。

徳広（のりひろ）しのぶ夫婦は、自分勝手な思い込みが原因で温久（はるひさ）と新月（しづき）の気持ちをさかなでにしていると言うことに気がついていないようだ。

悲劇は、ここから始まった。

時は流れて…

2023年７月18日の朝７時過ぎであった。

ところ変わって、福山市松永町（ふくやましまつながちょう）にある特大サイズの和風建築の家にて…

家のダイニングテーブルに徳広（のりひろ）しのぶ夫婦と温久（はるひさ）と温大（はると）と永眞（えま）と新月（しづき）としのぶのオイゴ・大可賀麿人（おおかがきよと）（31歳）の合計７人が座っていた。

テーブルの上には、永眞（えま）が作った朝ごはんが並んでいた。

家族６人と麿人（きよと）が朝ごはんを食べていた時であった。

（バーン!!）

ものすごく怒った表情をしている温久（はるひさ）が平手打ちでテーブルをバーンとたたいたあと、席を立った。

そして…

（ガーン!!）

温久（はるひさ）は、右足で席をけとばしたあとスーツのジャケットと黒の手提げを持ってダイニングから出ようとした。

永眞（えま）は、温久（はるひさ）に対して困った表情で言うた。

「義兄（おにい）さま、義兄（おにい）さま〜」

「（温久、怒鳴り声をあげる）なんぞぉ!!」

「ごはんがたくさん残っていますよ。」

「電車に乗り遅れるんだよ!!」

「だったら、うちが職場に電話しますから…」

「はぐいたらしいんだよ!!」

「義兄（おにい）さま!!」

「なんや!!オレにいちゃもんつける気か!?」

「うちは、朝ごはんを食べてから出勤してくださいと言うているのですよ～」

「だまれ!!だまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだーーーーーーまーーーーーれーーーーーー!!…オドレはクソナマイキな女だ!!オレに対していちゃもんつけたからうらんでやる!!」

温久（はるひさ）は、永眞（えま）を怒鳴りつけたあとジャケットと手提げを持って家から出ていった。

（ドーン!!）

温久（はるひさ）は、玄関のドアをドーンとしめた。

（バーン!!）

それから１分後に、新月（しづき）もテーブルを平手打ちでたたいて席を立ったあとダイニングから出ていった。

温久（はるひさ）と新月（しづき）がものすごく怒った様子で出ていったのを見たしのぶは、ものすごく困った表情で徳広（のりひろ）に言うた。

「あなた!!」

「（徳広、めんどくさい声で言う）なんぞぉ～」

「やっぱり、よくなかったみたい…」

「（めんどくさい声で）今ごろなにいよんぞ〜」

「あなた!!」

「（めんどくさい声で）温久（はるひさ）は50を過ぎているから結婚はできん…新月（しづき）はコーコーをやめているから結婚はできん…といよるのに…」

「できんできんできんできんできんできんできんできんできんできんできんできんできんできんできんできんできんできんできんできんできんできんできんできんできんできんできん…とあんたが否定ばかりしていたから温久（はるひさ）と新月（しづき）が婚期を逃したのよ!!」

「（めんどくさい声で）温大（はると）に嫁さんが来ただけで十分やろが…」

「はぐいたらしいクソバカテイシュね!!あんたのムカンシンが原因で温大（はると）の婚期が大きく遅れたし、温久（はるひさ）と新月（しづき）に嫁さんが来てもらえなくなったことに気がついてよ!!あんたは父親失格よ!!」

しのぶは、テーブルに置かれていたコバチで徳広（のりひろ）の頭を殴った。

殴られた徳広（のりひろ）は、ものすごくいじけた表情でダイニングから出ていった。

このあと、しのぶは怒りのほこ先を温大（はると）に向けた。

「温大（はると）!!」

「なんぞぉ～」

「あんたは、なにを考えて生きているのかしら!!」

しのぶに怒鳴られた温大（はると）は、ひどくコンワクした表情でしのぶに言うた。

「なんだよぅ…オレが大学で研究していることがそんなに気に入らないのかよぅ～」

「温大（あんた）ひとりのせいで温久（おにいさん）がどれだけガマンしているのか…を考えたことがあるの!?」

「分かってるよぅ〜」

「温大（あんた）が東京の大学に進学すると言うた時に、おかーさんは温大（あんた）に条件を出したのよ!!」

「聞いてないよぅ～」

「おかーさんは温大（あんた）に大学を卒業したあとは、笠岡（岡山県）の鋼板工場（こうじょう）に就職しますと決めたのよ!!」

「なんで勝手に決めたのだよ!!」

「大学を卒業したあとプータローになったら困るからおかーさんが知っている人にたのんだのよ!!それをあんたが『研究したいテーマが見つかったから…』と言うたから、おかーさんは知っている人に『待ってください。』と頼んだのよ!!…その時おかーさんは、温大（あんた）に『研究の成果が実って表彰式で賞状をいただいたあとは松永（うち）に帰りなさい!!』と言うたのよ!!それなのに、なんで言うことを聞かなかったのよ!?」

「あの時、大学で出会ったカノジョと挙式をあげる予定だった…結婚したあとも東京の大学で研究をつづける気でいたのだよ!!」

「ますますはぐいたらしいわね!!研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究…あんたのワガママが原因で温久（おにいさん）がどれだけガマンしたのか…分かってないわね!!」

「ふざけるなよ!!そう言うおにいかて陸上自衛隊（ジエータイ）のコーコー（高等工科学校）〜海上保安大学校でカネもらいながらベンキョーしていたじゃないか!!」

「温大（あんた）の大学の学費や仕送りなどは、温久（おにいさん）が陸上自衛隊（ジエータイ）のコーコーと海上保安大学校に在籍していた時に貯めたおカネなのよ!!」

「それじゃあ、どうすればいいのだよ!!ぼくは今、研究しているテーマがあるんだよ…研究させてくれよ!!…（大学で知り合った）カノジョとの結婚を阻止（とめ）たこともふくめて、一生うらみ通すからな!!」

温大（はると）は、しのぶに対してタンカ切ったあとダイニングから出ていった。

永眞（えま）は、温大（はると）に対してごはんが残っていると言うた。

「あなた!!」

「なんぞぉ!!」

「義母（おかあ）さまになんでひどいことを言うのよ!!」

「だまれ!!だまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだーーーーまーーーーーれ!!ぼくは大学で研究したいテーマがあるのだよ!!口出しするな!!」

温大（はると）は、永眞（えま）を怒鳴りつけたあと家から出ていった。

温大（はると）から怒鳴られた永眞（えま）は、ものすごくつらい表情でつぶやいた。

なんでそんなにガーガーガーガーおらぶのよ…

うち、しんどい…

このあと、しのぶはまだごはんを食べている麿人（きよと）に対してカドにやさしい声で言うた。

「麿人（きよと）、朝からごめんね。」

麿人（きよと）は、キョトンとした表情でしのぶに言うた。

「なんのことぞぉ〜」

しのぶは、カドにやさしい声で麿人（きよと）に言うた。

「おばさんは、温大（はると）さんが言うことを聞かないから注意しただけなのよ…お嫁さんもらったのに、大学で研究するのはダメだから…」

麿人（きよと）は、めんどくさい声で言うた。

「お嫁さんもらった人が大学で研究したらいかんのですか？」

しのぶは、カドにやさしい声で麿人（きよと）に言うた。

「だから、お嫁さんを食べさせてあげることが最優先だから研究はやめなさいと温大（はると）に注意したのよ。」

「（麿人、ますますめんどくさい声で言う）おばさんがいよることは、理解できません…」

ものすごく怒った表情を浮かべている麿人（きよと）は、黒の手提げを持って席を立ったあとダイニングから出ていった。

麿人（きよと）も、朝ごはんをたくさん残したまま家から出ていった。

麿人（きよと）からめんどくさい声で言われたしのぶは、ものすごく困った表情であたりをキョロキョロと見渡しながらつぶやいた。

なんで麿人（きよと）は理解しないのよ…

結婚したら、お嫁さんを食べさせることが最優先だから大学で研究することできないのは本当なのよ…

それよりも、温大（はると）が目をさます方法があったら教えてよ…

ところ変わって、福山市東村町（山ぞいの地区）にある大学にて…

温大（はると）は、東京の大学の研究室にいた時にお世話になった主任の紹介でこの大学の研究室にやって来た。

現在、温大（はると）は2025年に完成させることを目標に新しいテーの研究に取り組んでいた。

またところ変わって、ＪＲ岡山駅の東口の広場（桃太郎の銅像がある広場）にて…

広場は、おおぜいの通勤通学客でにぎわっていた。

通勤電車（でんしゃ）から降りた温久（はるひさ）は、おおぜいの通勤通学客たちと一緒に桃太郎通り（電車通り）へ向かって歩いた。

時は、朝８時50分頃であった。

またところ変わって、岡山市北区平和町にある大手都市銀行（三菱ＵＦＪ銀行）の支店にて…

スーツ姿の温久（はるひさ）は、ものすごくいらついた表情で仕事を始める準備をしていた。

温大（はると）はオレをグロウするだけグロウした…

オレが陸上自衛隊（ジエータイ）のコーコーと海上保安大学校にいた時に貯めたおカネを使って東京の大学へ行った…

研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究…

温大（クソバカ）は、大学でなんの研究をしよんか…

新月（しづき）も新月（しづき）で甘ったれている…

新月（あのクソガキ）も新月（クソガキ）で、自由と権利ばかりをシュチョーしている…

だからなお許さない…

麿人（クソイトコ）も麿人（クソイトコ）でチョーシにのっているからなお許さない…

永眞（よめ）も永眞（よめ）でクソナマイキだ…

どいつもこいつも…

ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ…

…………

またところ変わって、福山市今津町にある高級住宅街にて…

高級住宅街にチャラい格好をした新月（しづき）がやって来た。

新月（しづき）は、家の前に立っているかわいいエプロン姿の人妻・来住田藍子（きしだあいこ）（32歳）に近づいた。

新月（しづき）は、なれなれしい態度で藍子（あいこ）に近づいた。

「藍子（あいこ）〜」

「（藍子、ものすごくつらい表情で言う）なによぅ〜」

「（新月、なれなれしい態度で言う）久しぶりだな～」

「あんたなんか知らないわよ!!」

新月（しづき）は、藍子（あいこ）の前で『たのみがあるけどいい？』となれなれしい声で言いながら両手をあわせた。

藍子（あいこ）は、しぶちんの表情で『分かったわよ～』と言うた。

（カチャッ…ピーッ…）

この時、近所で暮らしているチクリ奥さまが新月（しづき）が藍子（あいこ）の家に入って行く様子をスマホの動画カメラで撮影した。

チクリ奥さまは、松永町にある村前（むらさき）の家の近所で以前暮らしていたことがあった。

新月（しづき）は、過去に女…特に人妻がらみのもめごとを犯した前科が複数件あった。

だからチクリ奥さまは、新月（しづき）が悪さをしているところをスマホの動画カメラでカクシドリしていた…と言うことであった。

チクリ奥さまは、家の中で藍子（あいこ）に対して新月（しづき）がカネを求めている様子までの間を動画で撮影した。

またところ変わって、東尾道にあるフジグランにて…

フジグランは、永眞（えま）がパートで働いている店舗である。

永眞（えま）は、青果食品売り場の陳列棚（たな）に今朝入荷した野菜類を並べる作業をしていた。

そこへ、例のチクリ奥さまが永眞（えま）のもとにやって来た。

近所の奥さまは、ものすごくいらついた表情で永眞（えま）に言うた。

「村前（むらさき）の奥さま!!」

「（キョトンした表情で言う）はい？」

「あんたこの頃、顔がナマイキになっているわよ!!」

チクリ奥さまからきつい言葉をぶつけられた永眞（えま）は、コンワクした表情で言うた。

「奥さま!!それはどういう意味でしょうか!?」

「あんたこの最近、義弟（ダンナのおとうと）さんに対して殴るけるの暴力をふるっているみたいね!!」

「ふるっていません!!」

「ますますはぐいたらしいわね!!義弟（ダンナのおとうと）がまた来住田（きしだ）さん方の家にずうずうしく上がり込んで行く様子を動画（スマホ）で撮影したわよ!!」

ブチ切れた奥さまは、バックの中からスマホを取り出したあとカメラのアプリを起動させた。

その後、隠し撮りした動画を永眞（えま）に見せた。

画面には、新月（しづき）が藍子（あいこ）にカネをくれと求めている様子が映っていた。

「なあ、頼むよ…10万…だめなら５万でいいからさ…頼むよ…」

「困るわよ…うちは、家のローンなどでなにかと大変なのよ…」

「お前にメーワクかけないから…この通り…頼むよ…」

新月（しづき）から頼まれた藍子（あいこ）は、財布の中から５万円を出したあと新月（しづき）に渡した。

カネを受け取った新月（しづき）は、ヘラヘラした表情で『助かった〜』と言うた。

チクリ奥さまはアプリを閉じてスマホをバックにしまったあと、グーで永眞（えま）の右腕を３回殴りつけた。

（がツーン!!がツーン!!がツーン!!）

殴られた永眞（えま）は、泣きそうな声で奥さまに言うた。

「なんでしわくのですか!?」

「あんたに原因があるからしわいたのよ!!今度また義弟（クソバカ）が来住田（きしだ）の奥さまに会いに来たら、スマホで撮影した動画をテレビ局に送るわよ!!覚悟しておきなさい!!」

（パチーン!!）

チクリ奥さまは、平手打ちで永眞（えま）の顔を平手打ちで激しく叩いたあとその場から立ち去った。

それから１分後であった。

近くにいたパート従業員さんたち４人が永眞（えま）のもとにやって来た。

「村前（むらさき）さん!!」

「村前（むらさき）さん!!」

「大丈夫ですか!?」

「一体、なにがあったのですか!?」

４人の従業員さんたちの呼びかけに対して、永眞（えま）はつらい声で『大丈夫よ…』と答えた。

そこへ、オツボネのパート従業員が通りかかった。

オツボネのパート従業員は、ものすごくナマイキな態度で永眞（えま）に言うた。

「あんたね!!一度鏡に自分のツラを写したらどう？」

オツボネが言うた言葉に対して、従業員さんＡが怒った表情で言うた。

「なにいよんであんたは!!村前（むらさき）さんにどんな落ち度があると言うのよ!!」

オツボネは、えらそうな態度で従業員さんＡに言い返した。

「義弟（クソバカ）がカツアゲ魔になった原因は嫂（おねえ）がナマイキだからよ!!」

オツボネが言うた言葉を聞いた従業員さんＢが右足でオツボネをけとばした。

（ドカッ!!）

「なにするのよ!!」

「カツアゲ魔はあんた方の義弟（クソバカ）のことよ!!」

「うちの義弟（おとうと）はまじめなサラリーマンよ!!」

「ウソばかり言われん!!」

「あんたの義弟（クソバカ）はサラリーマンだけど、のうなしでこづかい程度しか稼げん契約社員（ケーヤク）でしょ!!」

「のうなしだから正社員（セーキ）になれんのよ!!」

「うちの義弟（おとうと）のどこがのうなしよ!!」

「はぐいたらしいわねクソバカオツボネ!!」

「あんたのオツボネが原因でダンナが毎晩キャバに行くようになったのでしょ!!」

「そう言うオツボネこそ、鏡に自分のツラを写しなさいよバカ!!」

「何よあんたたち!!」

「ケンカ売る気ね!!」

「買ったわよ!!」

このあと、４人のパート従業員さんたちとオツボネは女同士のいびつな乱闘を店内で繰り広げた。

またところ変わって、福山市柳津町（しないやないづちょう）の貯木場（ちょもくじょう）になっている港湾（がんぺき）にて…

徳広（のりひろ）は、ものすごくつらい表情で海をながめながら考え事をしていた。

永眞（えま）と温大（はると）の挙式披露宴の翌日から家族の間でギクシャクが生じた…

温大（はると）はお嫁さんをもらえたから、温久（はるひさ）と新月（しづき）はガマンしてもらう…

温大（はると）が大学で研究しているが、なんの研究をしているのか…

研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究…

温大（はると）はナマクラだ…

ワシラは…

研究の成果が認められて、表彰式で表彰された翌日に松永（うち）へ帰れと言うた…

笠岡の鋼板工場（こうじょう）は終身雇用で安定した収入があってコンスタントに動けるといよんのに…

温大（あのクソバカ）は寝ぼけやがって…

ふざけるな!!

（ビュー…ポチャ…）

ブチ切れた徳広（のりひろ）は、近くにあった石を海に投げつけた。

海に落ちた石は、小さい水しぶきをあげた。

（ブロロロロ…キーッ…）

それから２分後であった。

港湾（がんぺき）の空き地に、黒のキャデラックが停（とま）まった。

車の中から、チンピラ風の男が降りた。

男は、黒のヤキソバヘア…俳優の佐藤蛾次郎（さとうがじろう）さんみたいな髪の毛で黒のサングラスをかけていてももけた（ボロボロの）ハラマキ姿で黒の地下足袋（たび）を履（は）いていた。

男は、四国にある暴力団組織・田嶋組（たじまぐみ）に出入りしている商人（あきんど）・竹宮豊国（たけみやとよくに）であった。

竹宮は、車を降りたあと港湾（がんぺき）でしょぼくれている徳広（のりひろ）のもとへ向かって歩いた。

徳広（のりひろ）のもとにやって来た竹宮は、気色悪い声で徳広（のりひろ）に声をかけた。

「おやおや、これは村前（むらさき）のダンナ〜」

「（徳広、ものすごくつらい声で言う）なんでしょうか？」

「ダンナ、ここでなにしていたのですか？」

「あんたにはカンケーないことだ!!」

徳広（のりひろ）は、竹宮（たけみや）に対してつきはなす声で『冷やかしに来たのであれば帰れ!!』と言うたあと、近く落ちていた石を手にした。

徳広（のりひろ）は、手にした石を海に投げつけた。

（ポチャ…）

石が落ちた部分に小さい水しぶきがあがった。

竹宮（たけみや）は、気色悪い声で徳広（のりひろ）に言うた。

「まあまあ、そんなに怒らんと…」

徳広（のりひろ）は、ものすごく怒った表情で竹宮（たけみや）に言うた。

「あんたは、オレをグロウしとんか!!」

竹宮（たけみや）は、気色悪い声で徳広（のりひろ）に言うた。

「まあまあダンナ、そんなに目くじらを立てたらしんどいでしょ…」

「帰ってくれ!!」

徳広（のりひろ）は、ものすごく怒った声で竹宮（たけみや）に言うた。

竹宮（たけみや）は、ものすごく気色悪い声で徳広（のりひろ）に言うた。

「ダンナ、せっかくお会いできたのに『帰ってくれ…』はないでしょう…せっかくお会いしたのだから、一緒にうどん食いに行こや〜…わしも、あんたに聞いてほしいグチがよぉけあるんよ…」

徳広（のりひろ）は、しぶちんの表情で『わかったわよ…』と言うたあと竹宮（たけみや）について行った。

徳広（のりひろ）と竹宮（たけみや）が車に乗り込んだあと、車は港湾（がんぺき）から出発した。

その後、車は福山市の外へ出たあと遠方へ向かったようだ。

（ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン…）

時は、夕方６時20分頃であった。

温久（はるひさ）は、ＪＲ岡山駅から山陽本線の各駅停車（かくえき）の下り電車に乗っていた。

スーツ姿で黒の手提げを持っている温久（はるひさ）は、ものすごく怒った表情を浮かべていた。

月火水木金（ヘージツ）は、松永の家と岡山市の職場（ぎんこう）の間を往復するだけの暮らしを送っている温久（はるひさ）の気持ちは、ヒヘイしていた。

永眞（えま）と結婚したあとも大学で研究を続けている温大（はると）が気に入らない…

研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究…と言うて温大（はると）が寝ぼけている…

その時の学費と仕送りは陸上自衛隊（りくじ）のコーコーと海上保安大学校で貯めたおカネを全部使った…

研究の成果が認められて表彰された翌日から態度がえらそうになった…

研究の成果が認められたので、好きなカノジョにプロポーズして結婚を決めた…

ふざけるな!!

オレは…

温大（クソナマイキ）のために犠牲になった…

あの時、温大（クソナマイキ）がカノジョを連れてうちにあいさつに来た時…

周囲はお兄ちゃんだからガマンしてくれと言うた…

だからオレは…

温大（クソナマイキ）のためにガマンしたのだ…

周囲がガマンしたら幸せになれると言うたから、オレはガマンしたんや…

ガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンしてガマンして…

オレは温大（クソナマイキ）のためにぜーーーーーーんぶガマンした!!

カノジョとの結婚が破たんしたあと、温大（クソナマイキ）は変わると思っていたが…

地元の大学で研究をつづけると言うたので…

さらにガマンを強いられた…

もう許さない…

温大（クソナマイキ）は一生うらんでやる!!

温久（はるひさ）は、右手で作ったこぶしを激しく握りしめながら怒りに震えた。

電車は、夕方６時半頃にＪＲ松永駅に到着した。

電車を降りた温久（はるひさ）は、改札を通って駅の外へ出たあとものすごくつらい表情で家へ向かって歩いた。

時は、夜７時10分頃であった。

ところ変わって、家のダイニングキッチンにて…

ダイニングテーブルの上には、永眞（えま）がフジグランで購入したソウザイが並んでいた。

テーブルには、温久（はるひさ）としのぶが座っていた。

ダイニングキッチンにいる永眞（えま）は、今朝方作ったみそしるを温め直していた。

徳広（のりひろ）と温大（はると）と麿人（きよと）は、まだ帰宅していなかった。

そんな時に、チャラい格好をした新月（しづき）が帰宅した。

ダイニングテーブルに座っていた温久（はるひさ）は、チャラい格好をしている新月（しづき）に対して、テーブルに置かれていたコバチを投げつけた。

コバチは、新月（しづき）の頭にあたった。

（ガツーン!!）

コバチをぶつけられた新月（しづき）は、温久（はるひさ）の右腕をグーで殴りつけた。

「オドレ新月（しづき）!!」

（ドカッ!!）

ブチ切れた温久（はるひさ）は、右足で新月（しづき）をけとばして倒した。

ブチ切れた新月（しづき）は、ものすごく怒った声で温久（はるひさ）を怒鳴りつけた。

「何するんだよ!!」

「はぐいたらしいんだよ新月（カツアゲマ）!!」

「ふざけるな!!」

（ガツーン!!ガツーン!!ガツーン!!）

新月（しづき）は、温久（はるひさ）の右腕をグーで３回殴りつけた。

殴られた温久（はるひさ）は、するどい目つきで新月（しづき）をにらみつけながら『明日おぼえとけ!!』と言うたあと、食卓から出ていった。

ダイニングキッチンにいた永眞（えま）は、部屋に戻ろうとしている温久（はるひさ）に対して困った声で言うた。

「義兄（おにい）さま、もうすぐごはんができます…義兄（おにい）さま…」

「だまれ!!クソナマイキ女!!」

（ドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドス…バーン!!）

思い切りブチ切れた温久（はるひさ）は、ドスドスと音を立てながら床を歩いて部屋へ向かった。

部屋に入ったあと、よりし烈な怒りを込めてドアをしめた。

それから１分後であった。

しのぶが新月（しづき）に対して怒った声で言うた。

「新月（しづき）!!」

「なんだよぅ～」

「今からおかーさんと大切な話をするから、となりの部屋に行きましょう!!」

「なにが大切な話だ!!ふざけるな!!」

「新月（しづき）!!」

しのぶは、新月（しづき）を連れてダイニングのとなりにある８畳（じょう）の和室へ移動した。

場所は変わって、８畳（じょう）ひとまの和室にて…

しのぶと新月（しづき）は、和室のテーブルに向かい合って座って話をすることにした。

しのぶが座ったあと、新月（しづき）に対して怒った声で言うた。

「すわりなさい!!」

「なんだよぅ～」

「すわりなさいと言うたらすわりなさい!!」

しのぶに怒鳴られた新月（しづき）は、ものすごくつらい表情を浮かべながらしのぶの向かい側に座った。

しのぶは、ものすごくあつかましい声で新月（しづき）に言うた。

「新月（しづき）!!お前はまた今津町（いまづ）の来住田（きしだ）の家に行ったみたいね!!」

「（居直った声で）ああ、行ったよ…」

「おかーさんはあんたに対してお向こうの家のご家族がものすごく困っているから行かれんと言うたのよ!!」

「聞いてねえよ!!」

「新月（しづき）!!」

ブチ切れた新月（しづき）は、席を立ったあと右足で席をけとばしながら言うた。

（ガーン!!）

「ふざけるなよ!!大切な話大切な話大切な話大切な話大切な話大切な話…聞くだけでもうざいんだよ!!」

ブチ切れたしのぶは、新月（しづき）を怒鳴りつけた。

「座りなさい!!」

新月（しづき）が再び座り直したあと、しのぶはものすごくあつかましい声で新月（しづき）に言うた。

「新月（あんた）は今の今までの間に女性関係のもめごとを何度起こしたのか…もう一度数えなさい!!」

「おぼえてねーよ!!」

「新月（しづき）!!」

「はぐいたらしいんだよ!!大切な話大切な話大切な話大切な話大切な話大切な話…あんたが言う大切な話なんかうざいんだよボケ!!」

「おかーさんは、新月（あんた）がいい子になってほしいからいよんよ!!」

「あんたが言う『いい子』と言うテイギが分かんねーんだよ!!」

新月（しづき）からそのように言われたしのぶは、ものすごくあきれた声で言うた。

「ああもうなさけないわね…おかーさんは、新月（あんた）がいい子になるために一生懸命になったのよ…」

「どこがや!!それじゃあ、オレに好きなカノジョがいない方がいい子になれるのかよ!!」

「おかーさんはいい子になってほしいからいよんよ!!」

「はぐいたらしいんだよ!!あんたの言うことはグチャグチャや!!いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子…あんたの理想はなんだよ!!」

「おかーさんの言うことを聞きなさい!!おかーさんは新月（あんた）にいい子になることがたった一つの夢なのよ!!」

「はぐいたらしいんだよボケ!!」

その時であった。

ふたりの怒鳴り声を聞いた永眞（えま）が和室にやって来た。

「おふたりともやめてください!!ガーガーガーガーガーガーガーガーおらびあっていたら、話し合いができなくなりますよ!!」

永眞（えま）の言葉を聞いたしのぶは、ものすごく怒った声で言い返した。

「だまりなさい!!うちにメイレイする気かしら!!」

永眞（えま）は、ものすごくつらい声でしのぶに言うた。

「メイレイなんかしていません!!お腹が空いている状態ではおだやかに話し合いをすることができません!!大切な話をしたいのであれば晩ごはんを食べてからにしてください!!」

永眞（えま）から言われたしのぶは、怒った声で新月（しづき）に言うた。

「晩ごはんを食べたあと、大切な話をします…」

その後、しのぶと新月（しづき）は永眞（えま）と一緒にダイニングテーブルへ行った。

場所は、ダイニングキッチンにて…

しのぶが先にダイニングテーブルに座った。

しかし、新月（しづき）は座らなかった。

しのぶは、困った声で新月（しづき）に対して『座ったら？』と言うた。

新月（しづき）は、怒った声で言うた。

「なんや!!なんやこれは!!」

しのぶは、困った声で新月（しづき）に言うた。

「おかーさんは、ごはんを食べなさいと言うたのよ…」

新月（しづき）は、ものすごく怒った声でしのぶに言うた。

「ふざけるな!!もういっぺんいえ!!」

「（困った声で）おかーさんはごはんを食べなさいと言うたのよ…」

「はぐいたらしいんだよ!!ごはん食べなさいとはなんや!!」

ブチ切れた新月（しづき）は、しのぶに対してコバチを投げつけた。

コバチは、しのぶの右肩にぶつかった。

しのぶは、ものすごく泣きそうな声で新月（しづき）に言うた。

「なんでそんなに怒るのよ…おかーさんはおだやかに話し合いがしたいのよ…」

「おだやかに話し合いができない原因を作ったのはあんたや!!」

「おかーさんはおだやかに話し合いがしたいからごはんを食べようと言うたのよ…いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい!!」

ブチ切れた新月（しづき）は、しのぶの髪の毛を思い切りひっぱった。

永眞（えま）は、新月（しづき）に対して『やめて!!』と叫んだ。

ブチ切れた新月（しづき）は、怒りのほこ先を永眞（えま）に変えた。

新月（しづき）は、永眞（えま）に対してよりし烈な暴行を加えた。

しのぶは、両手で耳をふさぎながら首を横にふった。

やめて…

お願いだからやめて…

家が壊れるからやめて…

またところ変わって、ＪＲ松永駅の北口にある居酒屋にて…

時は、夜10時50分頃であった。

麿人（きよと）は、ものすごくつらい表情でのんだくれていた。

テーブルの上には、えびチリ・マーボードーフ・ユッケなど…激辛料理ばかりがならんでいた。

ユーセンのスピーカーから、岩佐美咲さんの歌で『鞆の浦慕情』が流れていた。

麿人（きよと）は、温大（はると）と永眞（えま）の挙式披露宴の翌日以降、まっすぐ家に帰らなくなった。

麿人（きよと）は、職場を出たあとこの店に来て浴びるように酒をのんでいた。

時には、深夜４時半頃までここにいる時もある…

今の麿人（きよと）は、伯母（おば）夫婦の家族と仲良く暮らして行くことができない…

一刻も早く自立したい…

…………

麿人（きよと）は、より激しいジレンマに苦しんでいた。

そんな時であった。

メイテイ状態におちいった麿人（きよと）は、となりに座っている男性客（きゃく）がのんでいたサッポロ黒ラベルのびんを手にしたあと自分のタンブラーにビールをつごうとした。

この時、麿人（きよと）はとなりの男性客（きゃく）とトラブってしまった。

「オドレクソガキ!!」

「なんだよぅ～」

「オレがのむビールにてぇつけるな!!」

「のみてーんだよ～」

「ほんなら注文せえ!!」

男性客（きゃく）から怒鳴られた麿人（きよと）は、右となりに座っている男性客（きゃく）がのんでいた黒ラベルのびんを手に取った。

そして…

（ガシャーン!!）

麿人（きよと）は、男性客（きゃく）の頭をビールびんで殴りつけたあと右足でけとばして倒した。

倒れた男性客（きゃく）は、よりし烈な声をあげた。

「なにしやがる!!」

「オドレが先にいちゃもんつけて来たからやっつけた!!」

「なんやコラ!!」

「ぶっ殺してやる!!」

「ジョートーじゃあ!!」

このあと麿人（きよと）は、店内で複数人の男性客（きゃく）たちと大規模な乱闘を繰り広げた。

その際に、麿人（きよと）は７〜８人の男性客（きゃく）を持っていたナイフで斬（き）りつけて殺した。

その後、麿人（きよと）は店から逃げ出した。

「待て!!」

「待てコラ!!」

このあと、10人の男性客（きゃく）たちが外へ出たあと麿人（きよと）を追いかけた。

麿人（きよと）は、この日を境に村前（いえ）に帰らなくなった。

日付が変わって、７月19日の深夜３時半頃であった。

またところ変わって、家のダイニングキッチンにて…

ダイニングテーブルには、しのぶがひとりで座っていた。

テーブルの上には、なにも置かれていなかった。

そんな中であった。

徳広（のりひろ）がものすごくつらい表情で帰宅した。

しのぶは、ものすごくあつかましい声で徳広（のりひろ）に言うた。

「あなた!!」

「なんぞぉ～」

「今、何時だと思っているのよ!!」

「知らん…」

「あなた!!」

「（徳広、ものすごくめんどくさい声で言う）なんぞぉ～」

「（しのぶ、ものすごく怒った声で言う）そこへ座ってよ!!」

徳広（のりひろ）は、ものすごくめんどくさい表情でしのぶが座っている向かい側の席に座った。

しのぶは、よりし烈な怒りを込めて徳広（のりひろ）を怒鳴りつけた。

「あなた!!」

「なんぞぉ～」

「また新月（しづき）が来住田（よそのいえ）のおくさまに手を出したのよ!!」

「だから、オレにどうしろと言うんぞ〜」

「新月（しづき）をしわいてよ!!」

「だから、なんでオレが新月（しづき）をしわくんぞ〜」

「新月（しづき）がいい子になるためにはしわくしかないのよ!!」

「おい、落ち着けよ～」

「はぐいたらしいクソバカテイシュね!!」

よりし烈な声で徳広（のりひろ）を怒鳴りつけたしのぶは、よりし烈な怒りを込めて徳広（のりひろ）を攻撃した。

「新月（しづき）が女性がらみのもめごとを起こすようになった原因は、全部あんたにあるのよ!!」

「なんでオレのせいだよぅ〜」

「あんたが35年前に女性従業員さんにセクハラした…女性従業員さんをはらませたことが原因で婚約者の男性が自殺した…あんたのセクハラのせいでうちら家族がどんな思いをしたのか…あなたは全く分かっていないわよ!!」

「分かっているよ…」

「その前におかしたセクハラが原因で、温久（はるひさ）が全日制高校（フツーのコーコー）に行けなくなったのよ…温久（はるひさ）が陸上自衛隊（ジエータイ）のコーコーに変更された原因はあんたにゼーーーーーーーンブあるのよ!!クソバカテイシュ!!」

しのぶからボロクソに怒鳴られた徳広（のりひろ）は、ものすごく困った声でしのぶに言うた。

「ほんならどうしろと言いたいんぞ〜温久（はるひさ）が全日制高校（フツーのコーコー）に行けなかったことがそんなにいかんのか？」

「（しのぶ、ものすごく怒った声で徳広に言う）ええ、その通りよ!!」

「（徳広、ものすごくめんどくさい声で）陸上自衛隊（ジエータイ）のコーコーと海上保安大学校にいた時に貯めたおカネはどうしたんぞぉ〜」

「それらのおカネは、あんたのセクハラの被害を受けた女性従業員さんに対する慰謝料（おわびりょう）と温大（はると）のワガママに使われたからコカツしたのよ!!温久（はるひさ）の貯蓄をあてにするだけあてにしといて、逃げるなんてヒキョウよ!!」

「逃げてなんかいないよぅ〜」

「はぐいたらしいクソバカテイシュね!!温久（はるひさ）にお嫁さんが来なくなった原因と新月（しづき）が人妻さんにいやたいことをするようになった原因はぜーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんぶあんたにあるのよ!!クソバカムシケラミミズテイシュ!!約立たず!!ミズムシ!!インキンタムシ!!くさい!!…約立たずのクソバカテイシュ!!」

しのぶは、よりし烈な声で徳広（のりひろ）を怒鳴りつけた。

徳広（のりひろ）は、泣きそうな声で言うた。

「もういいよ…オレのことをそこまでボロクソに言うのかよ…オレは約立たずだよ…ミズムシとインキンタムシが感染（うつ）ると言うのかよ…なんでぇなんでぇなんでぇなんでぇ…」

（ドカッ!!）

ブチ切れたしのぶは、よりし烈な怒りを込めて徳広（のりひろ）の背中を右足でけとばした。

けとばされた徳広（のりひろ）は、なにも言わずにダイニングから立ち去った。

ところ変わって、徳広（のりひろ）が使っている６畳（じょう）ひとまの部屋にて…

うすぐらい灯りが灯る部屋に敷かれている京都西川（フトンメーカー）の羽毛布団の上にペタンと座り込んだ徳広（のりひろ）は、ぼんやりとした表情であたりを見渡しながらつぶやいた。

なんだよぅ…

この家の家族は…

よってたかってオレをいじめるのかよ…

「うううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう…ううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう…」

徳広（のりひろ）は、ものすごく女々しい声で泣きながらつぶやいた。

こんなはずではなかった…

思い描いていた家族生活を送ることができなくなった…

村前（このいえ）も終わりだ…

もうだめだ…