すらすらと、詩歌の流れるように連なる言葉遊びの心地よさ。
世辞の気持ちなど一切なく、本当に「読みながら口ずさんでしまう」リズム感の良さ……心にまさに沁み入る、不思議でありつつ何ともお見事な言葉の魔術師……!
個人的なイチオシは、物凄く迷ったのですが……
『挽歌』で! 「万葉集」から汲み取られる流れをしっかり感じつつ、作者様独自の言葉で紡がれる、その意味。
(※万葉集=挽歌・相聞・雑歌・羈旅歌・譬喩歌からなる)
私が知らないだけでなければ「造語」をふんだんに用いて紡がれる、そしてそこに「挽歌」(死を悼む歌)というタイトルを付けるセンス……思わず深読みしてしまうと、それこそ「作者様独自の哀悼」を綴っているのではないか。
同時に読み手には「それぞれの感じること」を、そして「死を悼む気持ちは人それぞれなんだよ」と伝えているのではないか、と……いやもう勝手に深読みしているだけなのですが、そう感じずにはいられませんでした。
何やら長々と書き連ねてしまい、申し訳ございません、がっ。
とにかく、読んでみて欲しい……そして何より「リズム感」の良さに、浸ってほしい!
読みながら、思わず口ずさんでしまったら、皆様も同志……本当にオススメです♪
作者様ご自身で作ったひらがなの造語や、
さも、そんな雰囲気の漢字単語を並べて、え?ご存知ない?って実は漢字造語だったり。
これらを織り交ぜて、言葉遊びの歌がぽつりぽつと並びます。
頭に浮かんだものや、心に溜まった澱を、
掬うように、つまみ上げて並べるように、粘土のように捏ねて、作者様が楽しんでおられるのが伝わってきます。
ご自身でも「難解を通り越して形の合わないパズルで絵を描いてるみたいなモノ」とおっしゃっていました。
「詩吹」こちらも造語で『しーふー』と読むそうです。大の男がナイショのお口の「しー」をした後に、口を尖らせて「ふー」ってしてる。それだけで微笑ましいです。
少し暗い色を伴って、センチメンタルや、内情的なものがうたわれていようとも。
沢山のレビューが寄せられている事からも、この作品を理解し魅了された多くの方たちがいらっしゃる半面。
私のように、
よく分かってないけど、なんか好き。
ぺろぺろしてるだけ。
そういって楽しむのもまた美味しい言葉のおやつなのです。