多数を生かし、一人を殺す

戦争や疫病によって荒れた地に救世主が現れるお話。彼らは優れた科学力でその星を復興させる。
しかしその目的は救世主側の悩みだったある感染症に耐性を持つ生物を生み出すこと。派遣されたトオルにとって不幸だったのは、耐性を得たのはその星で知り合った恋人であったこと……。
最大多数への幸福が最善。これは功利主義という考え方ですが、選ばなければいけなかった命が大切な人の側にあったという、ともすれば強烈な皮肉とも取れるメッセージが隠れています。
私自身もホラーやSFの短編は書いたことがありますが、結構難しい問題に切り込んでいると思います。

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