秘された世界に、血の匂い。仄暗い東京に鬼と人が交差する。

F県淀代に蔓延る鬼人種、それを狩る人間たちの戦いの記録。
箱崎翼は「退魔協会」に所属する一員で、日夜「鬼人種」を狩るお仕事に就くか弱いJK(本人談)。そんな彼女を主人公を迎えた、純正現代異能バトル。

……で終わらないのがこの作品です。
退魔協会は鬼人種のお掃除をする組織ですが、それと反目する「鬼人種情報統制局」は文字通り鬼人種の情報を秘匿する組織。です。今はなんかんやあって結託はしています。このバランスがサスペンスドラマのような仕立てを作品に与えています。
現代怪物バトルもの?としてはこの感じがいいスパイスです。人対怪物で終わらない政治闘争が血生臭いことこの上なく、ちょっと洋画っぽさを感じます。

もちろんちゃんとバトルもします。鬼>人のバランスは作中でよく描かれていて、敵の厄介さがハラハラ感に拍車をかけます。
それからこれはネタバレになるのであまり触れられないですが、1章はある人物の描きようがえげつないのです。心臓をヤスリで削られるような生々しさが……。怪しい教団まで出てきます。お話全体はかなりメンタルを抉ってくるんですよね。芸術を感じる。ハードに次ぐハードさ。
作風全体を通して、見えない世界やアンダーグラウンドとしての東京などの解像度がかなり高いです。なんか……こういうのってきっと現実にもあるんだろうなって。
作者様曰くラノベや少年漫画の雰囲気を取り入れているとのことですが、進撃の巨人とか呪術廻戦みたいなハードな作風寄りのものを感じました。
ぜひ、いやぜひ読んでください。