時代遅れのツェッペリン飛行船
一路傍
『魔王スローライフを満喫する 1巻』刊行によせて
こんにちは、一路傍です。
エッセイの初回ということで自己紹介みたいなものになりますが、何卒、よろしくお願いいたします。
そうそう、先に宣伝させてください。拙作『魔王スローライフを満喫する』(GCノベルズ)が発売しました。書店などで見かけましたら、どうかお手に取っていただければ幸いです。
さて、たまに「小説投稿半年ほどで書籍化ってすごいですね!」と言われることがあるのですが、たしかに『小説家になろう』に投稿しておよそ一年半、こちらの『カクヨム』では一年にも満たないといったキャリアとはいえ……実のところ、私は二十年ほど執筆してきました。
『小説家になろう』が覇権をとる遥か以前、『作家でごはん』、『トータルクリエーターズ』、『AC』などが勢力争いをしていた頃に、『ライトノベル作法研究所』でmayaと名乗って偉そうにふんぞり返っていた成れの果てが今の私こと一路傍になります。
とはいえ、毎年公募にせっせと出してきたわけではなく、仕事が大変なときやプライベートが多忙なときなど書けない時期も長らくありましたが……
それでも二十年近く、書き続けてきました。
もっとも、これだけ書いてきて分かったことはたった一つ――いかに私が非力で、才能もない、よわよわ作家かということだけです。
そもそも、多少なりとも力や才能があったなら、とっくの昔に商業デビュー出来ていたはずです。
実際に、こういう書き方は少々妬み混じりにもなりますが、私よりも上手くない作家さんがデビューしていく姿を幾度も見てきました。
そのたびに「なぜ私が選ばれないのか」と
今ならよく分かるのですが、結局のところ、当時の私は読者に真摯に向いていなかったのです。
そこまで独りよがりな作品を描いてきたつもりはなかったものの、それでも書籍化を目指しているはずなのに、市場にしっかりと目を向けていなかった。
二十年もかけてやってきたことは、所詮、アマチュア作家のオナニーに過ぎなかったわけです。
そうこうしているうちにライトノベルはパラダイムシフトして、いつしかなろう小説、もしくはネット小説へと様変わりしていきました。
当然のことながら、二十年近くも好き勝手にライトノベルを書いていると、そんな新しい潮流に付いていけなくなって、私もついに筆を折ったわけですが……
何の因果か、コロナ禍となってテレワークが始まり、それに伴って空き時間が出来ると、私はまた性懲りもなく執筆を再開していました。
結局のところ、私には書くことでしか解決出来ない
それが何なのか、私もいまだによく分かっていません。分かったときには私の創作は終わるのかもしれませんし、あるいは逆に始まるのかもしれない――
いずれにしても、どうやら私は才能に恵まれなかった一方で、どうしようもなく書くことだけは好きなようです。
いやはや、書かなくなったことで、その事実にやっと気づかされたわけですから、何とも皮肉なものです。
ところで、つい先日、第10回ネット小説大賞小説賞受賞のインタビューがあって、同期デビューかつ同レーベルの作家さんことKAMEさんの記事を読んだのですが――
「本作ではあえてテンプレは使わずに、じっくりやっていこう、それでいつかバズったらいいなあと思っていました。こういうかたちの作品もあるんだなって知っていただけると嬉しいです!」(※1)
とあって、本当に力強い作家さんだなと感じました。少なくとも非力な私には出来ない創作です。
何せ、二十年ですからね。ろくに見向きもされない時期を過ごしてきたので、亀のようにゆっくりと歩んで、読者と編集に見つけてもらうのを待つだなんて……私には土台無理な話です。
じゃあ、今の私に何が出来るのかというと――それはみっともなく足掻くことだけだったわけです。
オナニー程度にしかならない誇りなど、とうに
読者に見てもらう為なら「悪役令嬢」だろうが、「婚約破棄」だろうが、「ステータスオープン」だろうが、「追放ざまあ」だろうが、最早、何でもござれです。
二番煎じでもいい。そもそも、私にはさして才能などないのです。ならば、読者の欲する自動書記になればいい。
そう考え直してからはランキングを徹底的に分析して、キャラクター、ストーリー、キーワード、ジャンルごとの流行、感想などで見受けられる読者が求めていることを抽出していきました。
結果、短編シリーズ『愚者の王国』で手応えを感じてから、ついに長編でランキングを目指したのです。
そこからもまた紆余曲折はありましたが、捨てる神あれば拾う神あり――奇跡的な運と、何より縁で、私は第十回ネット小説大賞の小説賞を頂くことが出来ました。
ところで、少々手前味噌な話になりますが、拙作『魔王スローライフを満喫する』に出てくる魔族は不死にも近い長い生の中で「戦って死ぬことこそ誉れ」とみなす苛烈な種族です。
もちろん、そこには「書き続けて死ぬことこそ誉れ」とする私の強い意思を込めています。
振り返ってみれば、二十年――そう。たったの二十年ほどです。
とうに羽ばたいていった仲間たちよりずいぶんと遅れてしまいましたが、私はやっと商業デビューというスタートラインに立つことが叶いました。
もっとも、私にせいぜい出来ることといったら、やっぱりみっともなく足掻いて、何とか書き続けていくことだけ……
果たして、このエッセイを読んでくださっている方が私と同じように書き続けている方なのか、あるいは自らの戦場で足掻いている方なのかは分かりません。
ただ、いずれにしても私の作品が皆様の力に少しでもなってくれるのならば――それこそが私にとっての誉れとなります。
こんな非才な作家ではありますが、以降もお付き合いいただけましたら幸甚でございます。
―――――
※1 【KAME先生】受賞インタビュー|受賞作の見どころと『小説の書き方』について
https://www.cg-con.com/topics/31503/
時代遅れのツェッペリン飛行船 一路傍 @bluffmanaspati
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