喧嘩するほど仲がいい? 実習から始まる、私と先生の甘いお試し夫婦生活♪

 大雑把で料理や家事が苦手な貧乏学生ノアナは、秘められた才能を診断する「天職検査」でとんでもない結果を出されます。それはノアナの担任教師である「ノシュア・ユガリノスの妻」というもの!
 潔癖で嫌味な話し方ばかりする数学教師のユガリノス先生は、何から何までノアナとは正反対。最初は激しく反発するノアナでしたが、進級がかかった「職業体験実習」の職場を決めかねた末に、渋々ながらユガリノス先生の妻体験をすることになったのでした。

 想像に難くないことですが、家事や料理というのは苦手な人にとって超ストレスになるものです。性格や気質から、几帳面な作業には向かない人もいます。ノアナはまさにそんな感じで、やる気以前に家事への適性がありません。
 それでも、一般的には欠点とされる「できなさ」をありのままに見つめて受け入れて、彼女の「良いところ」をまっすぐ認める先生の優しさ。この物語の「溺愛」には、そんな深くやわらかな愛情があります。

 また、ユガリノス先生、頭が良く口達者なのに性格が不器用という珍しいタイプなので、二人はとにかくよく口喧嘩をします。それがテンポ良くて相性ぴったりで、はたから見ていると微笑ましく……。
 ついつい笑わせられるのですが、胸に余韻が残るような温かさもあって、不思議な空気感のお話だなぁと何度もしみじみさせられました。

 ノアナの過去、先生の過去。隠されていた背景が少しずつ明かされてゆくにつれ、二人のことが本当に好きになり、心から応援したいと思わせられます。
 最後の最後まで、ノアナの素直さ明るさに救われる物語。完結していますので、安心して読めます。ぜひご一読ください。

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