第153話作者リハビリ2

 ダンジョンから上がり換金とシャワーを終えると外に出る。


「ん~~体を動かすには消化不良だけど師匠経由で受けたバイトにも響きそうだしこれぐらいが限界だよね……」


 そんなことを呟きながら繁華街を歩いていると、待ち合わせなのか壁にもたれかかりながら俺を待つ少女を見つけた。


はてどこかで会ったことがあるような……


足音で気が付いたのか、スマホに向けていた視線を上げた少女と目が合った。


あ、思い出した。

この前、電車に乗って遠方へ一人で買い出しに行った時に痴漢されていた女の子だ。


彼女のことを思い出すことが出来たのは彼女の一際整った容姿スタイルの御蔭だった。


痴漢が狙うだけのことはあるなぁ……


 そんなことを考えていると、女の子はコテコテのナンパに声をかけられていた。


「……やめてください」

「いいじゃんいいじゃん」

「直ぐそこのスタバでお茶するだけだって」


拒否しているというのにナンパ男達が引く様子はない。


「はぁ……」


短い溜息を付くと俺は駆け足で女の子に駆け寄る。


「悪い、遅くなった」


「!? べ、別にいいわよ。

お腹空いたわ、早くどこか行きましょ」


 そう言うと足早で繁華街の方へ向かう……


「ちっ! 男連れかよ」

「あーあ損した」



………

……



「迷惑かけてすいません」


「別に、困っている人がいるから助けただけだよ。他意はない」


 と咄嗟のことで嘘を付いてしまう。


 他意はあった。

 

「情けは人の為ならず」という言葉があるように。

 もし他人に良いことをすればそのための問題が《スキル》【禍転じて福と為す】の障害として扱われるのでは? と言う実験をしたかった

ただそれだけだ。


「嘘です。前もあなたに助けてもらいましたから……」


「うっ……覚えてたの?」


 先頭を歩いていた彼女は、長髪をなびかせ振り返る。


「はい。一目で気が付きました」


 女の子はお日様のような笑みを浮かべる。


「待ち合わせの場所から連れ出してごめんね」


「しょうがないですよ」


 スマホに通知が来たようでメッセージアプリを開いているようだ。


「待ち合わせしてた友達からです。ペットが逃げてしまったようで家族総出で探すから今日はごめんだそうです」


「それは残念だね」


偶然にしては出来過ぎてる……もしかしてナンパから救ったから、ナンパしたやつと同じだけの報酬つまり、お茶したりとかってそう言うことか?


「俺に何か奢らせてください」


「いいよ。別に……」


「私の気が済まないんです。男の子だからラーメンとかでしょうか? じゃああそこにしましょうか」


 彼女が指さしたのはチェーンの中華屋さんだった。


「二名様でよろしいでしょうか?」

「はい」

「お席にご案内します」


 テーブル席に案内され、店員さんが席を離れた直後に女の子は口を開いた。


「あの、さっきは……ありがとうございます」


 頬と耳は赤く染まりっている。

 お礼を言わると思って居なかった俺は一瞬固まった。


「俺は自分のためにやっただけだよ。言うだろ? 情けは人の為ならずって、つまり俺は人を助ける事で間接的に自分のためにやっているわけで……」


「プフっ!」


 彼女は吹き出すと、カラカラと笑う。


「気を使わなくていいですよ。情けは人の為ならずなら定食奢るので食べてください」


「で、でも……」


「私のために食べてください」


「それじゃぁ……」


「注文は何にしますか? 

家族できたことあるんですけどココ定食でも結構ボリュームがあるんですよ」


「嫌なことがあった時は美味いメシをお腹いっぱい食べるに限るよね」


「私はこのラーメンと炒飯セットに餃子をつけますけど」


 そう言ってメニュー表で指示したのは、醤油ベースのスープに厚切りチャーシュー、煮卵がどどんと乗ったラーメンに半炒飯と餃子でお値段1300円ほどとかなり良心的。

 だが油と塩のイメージの薄い女の子選択とは思えない程、オイリーなチョイスだった。


「じゃあ俺もそれで……」


「遠慮しなくてもいいのに……すいませーん」


 女の子はシュシュ? で髪を纏めると戦闘態勢に入る。


「今日はガッツリ食べて嫌な思い出は忘れるわよ!」


 暫くして店員さんがメニューを配膳に来た。

 厚切りのチャーシューが乗せられたラーメンと炒飯のセットは食いでがあるように見える。




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『あとがき』


昨日7時より新作ラブコメの投稿を始めました。

10万文字書きあがっていますので安心して読んでいただけると思います。

今作でキャラ立てを勉強させていただいたので、かなりいい出来になっていると思います。


新作のタイトル

【好きな幼馴染がバスケ部OBのチャラ男に寝取られたので、逃げ出したくて見返したくて猛勉強して難関私立に合格しました。「父さん再婚したいんだ」「別にいいけど……」継母の娘は超絶美少女でした】

https://kakuyomu.jp/works/16817330658155508045/episodes/16817330659866009057

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俺だけヘルモードな件~鬼畜難易度ですがその代わり確定レアドロップで最強です。病気の妹を治すために裏庭のダンジョンに潜りポーションを手に入れたい。借金一億あるけど現代のゴールドラッシュなので余裕で返す 🔥SOU🔥9月01日より新作投稿開始 @a2kimasa

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