第8話
総勢、十八名って多過ぎんだけど。パーティーレベルは、見るまでもないな。
魔物が、吹き飛んで行く。
正直、このメンバーだと、俺は前に出なくても良さそうだ。
そして、新層へ到達した。
魔物を見る……。まだレベルは、低い方だと思う。だけど、徒党を組むんだな。
そんなことを考えている時だった。
前衛の一人が、吹き飛んだ。
「なんだ、あれ?」
明らかな場違い。そう思える魔物がいた。
「ウセロ、ニンゲン……」
違う、魔人だ。
衛兵が応戦するけど、徐々に戦闘不能者が増えて行く……。
「ねえ? 見てるだけ?」
リナリー様が、話しかけて来た。
「姫さまだけでも逃げてください」
「それはできないかな……。私は、このパーティーのリーダーなんだし」
こんな状況でも、強情だな。
衛兵Aとの視線が合った。
無言の圧力……。
俺は、荷物を降ろして、短剣を抜いた。それと、落ちている剣を拾う。
「ふう……。俺が、動けなくなったら回収してくださいよ。……
それだけ言って突撃した。
「現在のステータスは、2000オーバー……。まあ、負けはないかな」
魔人のパーティーレベルは、STRが1000ちょっとと言ったとこだ。
壁と天井を蹴って、移動する。
ここまでの肉体の酷使は、久々だ。
魔人を切り刻んで行く。
衛兵も魔人も俺の動きを目で追えていないな。
魔人は、魔法の構築を始めたけど腕を吹き飛ばした。何もさせるつもりはない。
数秒後、細切れになった魔人が、地面に散らばった。
◇
今パーティーは、新層から戻り、安全地帯にいる。
それはいいんだけど……。
「リナリー様、膝枕は止めて貰えませんかね?」
「うふふ。ご褒美なんだけどな~」
周囲の衛兵の視線が痛い。
そんでもって、俺は数日動けそうにない。回復魔法を受けるけど、回復する兆しがない。これは……、回復までに時間がかかりそうだ。
不味いな……。
AGIが、5って致命的だぞ。
斥候が、一人戻って来た。冒険者を見つけたと言っている。
「それじゃあ、準備でき次第、救援活動を再開しましょう!」
「「「はっ!」」」
おいおい……。
「あの~、俺は動けないんですけど? 俺だけでも
「うふふ。期待してるよ~。どれくらいで回復するのかな~」
王族に声をかけられた時点で、俺の命運は尽きていたのかな。ステータスにラック(LUC)はないんだよな。
まあ、俺のスキルで未来が視える訳じゃないんだ。
「足手まといは、ゴメンです。それじゃあ、全員で分け合いましょうかね。……
「えっ? なにをしたの?」
「俺の筋肉痛をパーティーメンバー全員で分け合いました。少しくらいは、引き受けてくださいよ」
だけど、瀕死だった人のダメージも襲って来た。HPの平均化だけだったけど、これで全員がある程度は動ける。動けない人はいなくなった。
話し合いが持たれて、二~三日は、休息を取ることになった。
それから……、怒られた。事前に相談って言われてもな~。
それと、リナリー様からの期待の眼差しが、眩しくて……。珍しいペットを見つけて喜んでいる子供のようだ。
……俺の受難は、まだまだ続きそうだな。
俺だけ見えるパーティーレベル~本当は最強なサポーター生活~ 信仙夜祭 @tomi1070
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