ノックトゥワイス
ショートショートで有名な作品と言えば「地球最後の男が部屋でひとり座っていた。するとノックの音が……」という一文だろう。
フレドリック・ブラウンが書いた「ノック」という短編の冒頭で、一人しかいないはずなのに一体誰が……と想像させる余地が素晴らしいのだとか。
まあ実際のところ、「冒頭」と言ってることから分かる通り、この小説には続きがあり、展開がある。ノックしたのは宇宙人だったのである。
想像の余地なんてものははじめからなかったのに、後世の人間が「想像の余地」なんてくだらないものを感じるために削ってしまったのだ。
おもしろきこともなきこの世をおもしろく。に勝手に下の句を足したようなものだ。
考えてみれば「地球最後の男」が「部屋でひとり」座っていた。なんて文章、本当に一人しか登場人物がいないのならおかしな文章なのだ。最後のでひとりだと分かっているのに、なぜわざわざひとりを強調するのだ。
「つまりこの文章で重要なのは『地球最後の男』ではなく『部屋でひとり』という部分なんだよ。外にいてもいいでも部屋の中はひとりじゃないといけない」
『地球最後の男が部屋でひとり座っていた。するとノックの音が……』と壁に大きく筆で書かれた、白い部屋。
キリキリキリ……。と力をこめている縄から悲鳴が聞こえる。
首を絞められている男は悲鳴すらあげられない。
ただ首をかきながら、目を見開く。
血が首でせき止められた頭は真っ赤に膨らんでいる。
パクパクと酸素を求め動いていた口は、しだいに動かなくなり、腕は力なくだらんと垂れた。
これで、部屋の中にひとり。
疲れから息を吐きながら、僕は筆文字の下にある扉の方を見る。
地球最後の男が部屋でひとり座っていた。するとノックの音が……
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中山9R
1,2,3,9,12 ボックス
シンザン記念
3-1,2,4,5 馬単マルチ
3-2,4,5-1,2,4,5 3連複フォーメーション
競馬で負けた分増えていく不思議な短編集 空伏空人 @karabushi
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