離島の妊婦は何故無麻酔帝王切開に至ったのか

現在では麻酔を用いて痛みを和らげる無痛分娩という方法もあり、欧米ではむしろ主流とも聞きます。お産はそれ程痛みを伴うものなのです。

帝王切開というのは、開腹手術です。腹の皮も筋肉も子宮という内臓も切り裂く。これを無麻酔というのは想像を絶します。女性だから我慢できる痛みというのは決してないのです。

東京の離島に暮らす一人の妊婦、キクさんは一体何故その決断に至ったのか。
「有った」のは何か。

何も保障されない、自分の命も省みない危険な決断です。どういう結果を齎すかは分からなかった。ひと通りの美談として読むものではありません。諦めるよう説得した医師も、確実に目の前の命を救う為の当然の判断でした。
ただ、一人の妊婦の、唯一の命への迷いなき決意、それを受け止めた医師の覚悟。
創作ではない実話だからこそ、命や地域医療、母子の絆、一人一人様々なことを思い馳せることのできる作品でした。送り出して頂きありがとうございます。