ささやかなる救い……か?

喜びがない。
幸福がない。
無惨がある。
諦観がある。

その中に呈じられた、ごくごく近距離の感覚において示された、「救い」。ただ、読み手にはそれが救いには思えなかった。無限遠の地獄における、わずかな出っぱり。なんとかすがりついてみたところで、それもまた主人公の重さに耐えきれず、崩れる未来が見える、見えすぎるのだ。

あなたには、ただ、幸せであってほしい。そう願うことすら、自分には許されなかった。

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