純正國語讀本

Hurra‼︎

序言

—主として教育家諸氏に―

簡単に本書編纂の趣意を述べたい。

吾々は、國語讀本(以後国語読本とする)に取って、極めて大切なることが三つあると考える。


第一に国語読本は国語を教えるものであるから、何よりも先ず国語の何たるかを伝えるべきである。

国語の正しき姿と美しき姿とを伝えて、国語の法則、趣味、声明を理解し、熟知し、味得せしむべきである。

其の学ぶ所を規範とし、これを暗唱し、これに準依して差し支えのないものを伝えるべきである。

吾々は此の要求に応ずる為に、本書において、少なくとも合法合格の、而してなるべくは、風情に富んだ立派な古今の文章を探ろうと努めた。


国語読本にとって第二に大切なることは、古今の代表作家の名作を公平に厳重に厳選して伝えること、及びおもなる形態様式の文章(例えば、記事文、論説文、書簡文、詩歌、小説、劇、随筆、演説、講演等)を広く伝えることである。

その厳選の根本標準としては、日本を本位とし、現代を本位とし、穏正、雅馴、及び未来性の豊富なることを本位とし、同時に「温故知新」「探他長、成我大」の方式による集大成を本位とすべきであろう。

吾々はあらゆる方面において、この趣意の実現に努めたが、絶大の価値があって而も難解の嫌いがある古文学—例えば「古事記」「万葉集」「源氏物語」「枕草子」の類—を現代語に訳しながら、即かず離れずに紹介し批評したるが如きも、この趣意に副わんが為の一手段に外ならぬ。


国語読本にとって、第三に大切なることは、国を知らしめることである。

自国の真実を知って、心から愛し重んぜしむる事である。而して国を知識し愛重せしむる最も容易穏健なる近道は、その国の現したる理想の姿を示すことであろう。

吾々は此の要求に応ずる為に、各方面における我が国最大級の最高表現を提供しようと努めた。例えば、人物においては古今第一流の偉人を、自然界においては全国第一位の風光美を、思想においては古来の最重要の思潮道義を取って、これをばなるべく立派に表現された文章において伝えようと努めた。日本固有の精神、東洋独特の文化を正しく理解せしめて国民精神の振作に資するというが如きは、いうまでもなくこの中に含まれるべきことである。


上の三大義を約言すると、国語読本によって、国語の固有性と、其の純正美麗なる姿とを知らしめ、国語がいろいろの時代、いろいろの作家によって、種種の形態様式に現わされたる、それぞれの趣致と意義とを知らしめ、而して又国土国民の最も高き持前の最も立派に現わされたる姿を知らしめて、我が国語、国家及び国土を理解して愛護せしめたいというのである。

さらに簡単に砕いていうと、正しい国語で立派に書かれた文章を、面白く読んで、自分の国の持前のわかるのみならず、それが読むもの各々の精神の滋養ともなり、同時に国家発達の補助ともなるようなものにしたいというのである。


上の三大義のほかに吾々の努めたことは、材料の配当を学年の程度や季節に適応せしめようとしたこと、なるべく文学的の材料を探ろうとしたこと、社会の新潮流の指示善導に留意した事、諸外国の真実を知るべき材料を多く提供して長短の取捨に便した事、敗戦民族に対する同情の文を載せて、大国民の襟度を養はしめんとしたこと、折々は作文課に連絡せしめ、生徒の仲間となって作文を試みるような、態度の変化をも付けた事等である。


最後に凡例としては、「某々の文による選る」と記したのは、程度の差はあるが、大概原文により、或いは原意を取って、編者の改訂を加えたものである。

これは、一面甚だ不遜なる仕業で、恐縮に堪えぬことではあるが、仕事の性質上やむを得ぬこととしてご宥恕願いたい。また頭註の中、九ポイント活字の文は、文章修辞の妙趣の鑑賞について注意を呼び起こすためのもの、八ポイントの文は論旨を撮要して趣意の理解に便したものである。


昭和四年八月七日 編者記



以下垢主(?)より

これ写すのきつすぎて頭痛くなってきた。正直続けられる気がしないので少しでも読んでくれる方がいたら続きかくかもだから反応くれたら頑張ります。

あと昔使われた字が多すぎて翻訳大変だった。

例えば為が爲って書いてあったり真実が眞實だったり。これなんて読むか未だに分からん。

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純正國語讀本 Hurra‼︎ @Ypaaaaaa

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