もったいないおばけは退治できない

 まだ使えるものを捨てるのは、もったいない。でも、使わないものに場所を使っている(そしてそこには家賃が発生している)ことこそもったいない。片付けられる人々は、よくそんなことを言う。


 その理屈はもっともで、反論のしようもないのだけど、それでも使えるものを捨てることには抵抗がともなう。


 ものを捨てるのに慣れろ、ということではない。むしろ抵抗感や罪悪感があるからこそ、ものを持つということに責任をもたないといけないのだ。


 一度使えるものを捨てるという嫌な経験をすることで、次にそうならないようものを吟味しよう。わかる。頭ではわかる。


 わかっていても、自分の中のもったいないおばけは消えてはくれない。退治することは諦めた。


 下着やタオルなど、手前のものを使っては手前にしまうから、後ろのものが使われず、手前のものばかりぼろぼろになっていく、というようなことを聞く。ぼろぼろのものは捨てて、必要数を考えてストック以上のものは処分せよ、と。


 ところが私は捨てられない族のくせに、並べることには几帳面。使うときには一番後ろから、洗ってしまうときは一番前にしまうというルーティン。しかも数が多いので、必然的に使う数が減り、あまりへたらない。


 もったいないおばけがぼろぼろ認定してくれない。捨てられない。


 そこでぼろぼろとまではいかずとも、肌ざわりの悪いもの、着心地の悪いものは手放す。タオルは掃除に使うなどして、最後まで役目をまっとうしてもらう。もったいないおばけも納得。


 ローテーションで使っているものは、今、あえて数をしぼって使用中。酷使すると、へたりも早い。そろそろ、もったいないおばけも納得してくれそうだ。最後は掃除などに使えば完璧だ。


 数は十分あるのでしばらく買い足す必要はない。何ならもう少し数を減らしてもよい。


 数が適量になれば、期限を決めて総入れ替え、というメソッドを取り入れたいと思っている。


 まだ時間がかかりそうだが、もったいないおばけは退治できそうにないので、積極的に納得させる方向でいきたい。退治して、スパッと手放す目標は、手放さずにいよう。

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