第7話
僕とレジーナは、冒険者としては良いコンビだったのだろう。
卒業試験の結果は上々であり、騎士学院から紹介状が与えられるほどだった。しかも驚いたことに、僕が手にしたのは、王宮騎士団への推薦状だったのだ!
「聞いたわ、ジャック。王宮騎士団に推薦されたのでしょう? おめでとう!」
「耳が早いね、レジーナ。これも卒業試験で一緒に頑張った成果だよ。ありがとう」
卒業パーティーでは、久しぶりにレジーナから話しかけられた。
やはりレジーナは貴族の家柄であり、王宮にもコネがあったのだろう。彼女が僕を推してくれた結果、推薦状が発行されたのだ。
その時は、そう考えたのだが……。
いざ王宮まで出向いたところで、僕は真実を知ることになる。
「王女直属の騎士に任命する」
そう下知されて、当の王女様に謁見すると……。
僕と同年代で、金髪碧眼の少女だった。
「あっ……」
「よろしくね、ジャック」
言葉を失う僕に、高貴な笑みを向ける。服装こそ違えど、それは卒業試験で組んだ、あのレジーナだったのだ。
こうして僕は、念願の騎士となった。
しかしその毎日は、思い描いていたものとは大きく異なっていた。
「おい、ジャック。今日も王女様がお呼びだぞ」
「はい、すぐに参ります!」
指定された部屋へ駆けつけると、きらびやかなドレスではなく、魔法士のローブを纏ったレジーナが待っている。
「今日もお忍びで街へ行くわ。ついてきてね、ジャック」
王宮の方々は時々、お忍びで城下を徘徊するらしい。
ただしレジーナの「お忍び」はほぼ毎日であり、しかも「お忍び」の間の仮の身分は、冒険者として設定されていた。
だから僕とレジーナは、二人組の冒険者として、初心者向けのダンジョンへ向かう。
「ここには、どんなモンスターが出るのかしら? 楽しみね!」
瞳を輝かせるレジーナの隣で、いつも僕は思うのだった。
これではまるで、騎士ではなく冒険者になったみたいだ。でも、こんな毎日も悪くない、と。
(「卒業試験の相棒は、その後も冒険を共にするパートナーになりました。」完)
卒業試験の相棒は、その後も冒険を共にするパートナーになりました。 烏川 ハル @haru_karasugawa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
同じコレクションの次の小説
関連小説
カクヨムを使い始めて思うこと ――六年目の手習い――/烏川 ハル
★212 エッセイ・ノンフィクション 連載中 299話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます