私の人生という名の物語を、あなたの故郷へ連れていってくださいませんか

サンパギータ、サンパギータ。
茉莉花の花言葉にのせられた愛の言葉。

奴隷の少女が蔑まれる日々の中で、女神のような姫君との日々を慈しむ。人以下の存在として疎まれた彼女の唯一の心の拠り所でした。

ですがそんなある日、一人の語り部との出会いが、奴隷の彼女にもう一つの心を与えてくれました。

それは決して心地よいものだけではなく、彼女の中の毒のようなものを引き立てることすらあって。

心を与えたい大切な姫君と、自分の心を裂こうとする語り部。
主人公の心が引き千切れてしまいそうな臨場感が、語り部である彼女たちの物語に乗せられて、読者である私たちを魅了してやみません。

作中、物語と言う名で、自分の心と人生を持っていって欲しいと、自分にあげられるものはそれだけだと決別する主人公の心に、ひとく胸が痛みました。

でも、物語の女神は彼女の隣でいつも見守っていてくれたのです。

語り部たちの紡ぐ、人生という名の物語に、ぜひ立ち寄ってください。

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