私の人生という名の物語を、あなたの故郷へ連れていってくださいませんか
- ★★★ Excellent!!!
サンパギータ、サンパギータ。
茉莉花の花言葉にのせられた愛の言葉。
奴隷の少女が蔑まれる日々の中で、女神のような姫君との日々を慈しむ。人以下の存在として疎まれた彼女の唯一の心の拠り所でした。
ですがそんなある日、一人の語り部との出会いが、奴隷の彼女にもう一つの心を与えてくれました。
それは決して心地よいものだけではなく、彼女の中の毒のようなものを引き立てることすらあって。
心を与えたい大切な姫君と、自分の心を裂こうとする語り部。
主人公の心が引き千切れてしまいそうな臨場感が、語り部である彼女たちの物語に乗せられて、読者である私たちを魅了してやみません。
作中、物語と言う名で、自分の心と人生を持っていって欲しいと、自分にあげられるものはそれだけだと決別する主人公の心に、ひとく胸が痛みました。
でも、物語の女神は彼女の隣でいつも見守っていてくれたのです。
語り部たちの紡ぐ、人生という名の物語に、ぜひ立ち寄ってください。