童話的な世界に群舞する、きらめく雨露のごときイメージたち

オープニングにて調子よく謳い上げられる、韻文めいた街のイメージにわくわくが大きく高まりましたが……本文も期待に違わぬイメージの乱舞。
キラキラ輝く星々、あるいはひっくり返したお菓子箱、用途の分からない工具箱……それらを文字化したらこんなふうになるのかなあ、と思わせてくれる、愉快で色彩豊かな文章を堪能させていただきました。
話を追うというよりは(いやお話もきちんと作ってあるんですけども)、寄せては返すイメージの波に身を任せるのが、本作では楽しいのかもしれません。