ダンジョンが発見されたためにドゥナイ・デン(=儲けの地)と呼ばれるようになった集落にて武具屋を営むバァバを軸に、様々な人間ドラマが展開されていく本作。
個性的な登場人物たちは様々な種族がおり、様々な職業についています。
そして様々な武具やアイテムを駆使してダンジョンに挑むのですが、ダンジョン内にて繰り広げられる冒険者たちのドラマには心を持っていかれました。
いつ死んでもおかしくない状況下、頼れるのは自分の実力か、それとも一緒にいる仲間か……ダンジョンを進んでいくことの不安と高揚が、この物語には詰まっています。
何にしても準備が大事!と心の底からそう思いました。
中盤からはさらにとんでもない事態に!
そして、ここからの展開がまた、とんでもないドラマを生んでいます!
是非ともご一読ください!
武具屋のババアであるバァバ。一見、業突く張りばあさんのように見えるが、その会話と振舞の端々に大物感、物知り感、そして怪しさが大爆発する。
最初に彼女を訪れるのは、ダンジョンから這う這うの体で逃げ出して来たメイジ。彼は6歳の娘の病気を治す薬草をもう一度取りに行くために、耐火のローブを安い金でバァバに売る。得た金で前衛の冒険者たちを雇うのだ。
次に店の前を通りかかったのは某国の王子パラディンとその金持ちパーティ。みすぼらしいバァバをバカにし、彼らもまたダンジョンに挑戦するという。
バァバの読み通り、王子ご一行は最初の突入ではなんの成果も上げられず、慌ててバァバの武具屋で装備を整え、二回目はそこそこ戦利品を得た。
つまり、バァバはダンジョンに挑む冒険者たちに合う防具を売り、時には必要なアドバイスをしていたのである。(もちろんそれだけではないが、続きは本編を!)
感想:特に気に入ったエピソードは、バァバの店で取引をすると、1000イェンごとに1ボルというポイントがもらえること。ある程度ボルが貯まると「バァバ特製、魔素の飴菓子」と交換してもらえるのだ。
そういう楽しい要素もあるが、一番の見どころは、ダンジョン内の全てを知り尽くしているかのようなバァバの語り口。まるで魔女のようでもあり、彼女の手足となって陰で働く者たちもいて、物語の展開が意外性に満ちていて非常に面白い。
オススメです🧙
むちゃくちゃ面白いです!
FF、ドラクエ、ファイヤーエンブレム、テイルズ、聖剣、エトセトラ……
RPG好きなら分かるはず!
小ネタやマップの隅々まで探索したくなるあの感覚……!
そんな気持でキャラ達の会話を探ってしまう。
世界の隅々まで読み込んでしまう。
あの時の会話は、この宝箱GETのためのものだったのか……!
アイツとコイツを引き合わせると、コイツを仲間に出来るのか……!
このアイテムにこんな効果が……!?
ページをめくるたび
そんな感動が蘇る!
いや、新たな感動に出会える!
そして個性豊なキャラ達が、どんどん好きになること請け合いです!
ゆっくりじっくりプレイしたい、素敵な作品です!
お勧めします👍✨
群像劇。
書き手なら誰もが憧れ、挑戦し、そして多くのの作品が心折れエタってしまう。そんな恐るべきジャンルだ。
多数のキャラクターそれぞれに魅力のあるキャラ付けを用意し、バランス良く活躍させ、その上で話を転がし続けて完結まで持っていく……かかる労力の大きさを想像するだけでも途方に暮れてしまいそうになる(もちろん、やり遂げた際の達成感はかなりのものだろう。だからみんな挑戦したがるのだ)。
だがしかし、この作品はそれを見事にやり遂げた!
血の通ったキャラクターたち(端役の一人一人に至るまで個性と癖の塊しかいない)をバランス良く動かし(最終決戦は、メンバーの誰一人欠けても勝ち得なかっただろう)その上でキチンとお話をたたみ切ってみせたのだ。
連作短編形式の序盤、ストーリーに一本の筋が通り始める中盤、そしてこれまで関わってきた人物たちが集結し、大いなる災厄に挑んでいく最終盤……頭から尻尾の先まで面白くない部分がない、ババアファンタジー群像劇のまさに決定版と言える作品である。
なので、スピンオフお願いします〜読みてえ〜読みてえよお〜過去話とか読みてえよお〜
※「05『ホビット vs ホビット』」の章まで拝読した時点でのレビューです。
「ウィザードリィや古典MMO RPGをリスペクトしながら、本格ファンタジーの世界を描いていきます」
あらすじにあるこちらの文言に偽りなしの、ハイファンタジーです。
古き良き、闇と魔物とマジックアイテムに満ちたダンジョン探索ゲーム。
かつて迷宮の闇へ潜り、潜む魔物と戦い、宝箱に心を躍らせたことのある方であれば、馴染みのある世界観かと思います。
あの頃、ドット絵の画面の向こうに幻視した世界が、丁寧な描写で構築されています。
そして「バァバ」をはじめとする登場人物も濃いです。
迷宮の闇の濃さにも、決して劣らぬインパクトの強さは、ぜひとも本編でご確認いただければと思います。
現状20万字を超えている長編ですが、1章(3~6話)ごとにひとつの話が完結する連作形式なので、現在進行している話の内容を把握しやすいのもよいところです。まとまった迷宮物語の一幕を、短めのスパンで楽しむことができますので、設定濃度と文章密度とが高いにもかかわらず、負荷は少なめでそれぞれの話を追うことができます。
続きも楽しみに読ませていただこうと思います。
やばい。
冒頭の数行を読んだだだけで鮮明な実写映像が脳内に立ち上がってくるのは、如何なる達人のワザであろうか。
これもう映画だよ……いや、中くらいのストーリーが続くからハイクオリティな洋ドラ……!
結構重要そうだと思った登場人物があっけなく死んだりするので驚きがあるけれど、ダンジョンとは本来そのような危険なものなのだというREALさがひしひしと感じられる。
各人物の視点から一歩引いて俯瞰したような文体が、そうしたことを自然と理解させてくれる。
オムニバス的なドラマ形式ですが、一体どうなってゆくのか、目が離せない。
ウィザードリィなど原初のRPGで味わったダンジョンの過酷さを、高解像度映像で楽しめる作品!