言葉にできないものこそ愛して欲しい。

 言葉以前の感動。具体的な感激になれなかった感傷を、形として表出する。

 そんな『素敵』を生業とする主人公のもとに。これまた感受性豊かな旅人がご来店。

 というところから物語が始まるのだが。

 まずもって文章が美しく完成されていた。
 そこからは作者様の力量と読書量が垣間見れたし。実力に裏付けされた情景描写、心理描写が素晴らしかった。
 だからだろう、夏の日のムンムンとした熱気と。あおくしげる雄大な山々の峰が、容易に想起させられた。
 
 内容自体も素敵で、とても優しく奥ゆかしい構成に仕上がっていた。
 自分も日常に転がる、言葉にすらならない感動を、拾っていきたいものである。

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