まだ二部までしか読んでいませんが、尻上がりに面白くなっていきます。
冒頭は主人公の悪役令嬢への信頼度が低く、疑いを持っていて、それが証拠と丁寧な推理によって少しずつ解きほぐされていく様は読んでいて気持ちの良いところです。
敵対者の意図も最初は予測ができずに不審ですが、主人公の明晰な推理によって解き明かされていきます。
こうした、悪役令嬢ものではお約束として端折られがちな部分がしっかりと描かれているのですが、煩わしさはなく、むしろ、物語の土台をしっかりと支える軸になっていると思います。
二部終了時点で、いよいよざまぁ展開への布石が打たれますので、期待も高まっていきます。
「ライト文芸」にエントリーしているので「女性」の方用の小説と思いきや、「男性」でも楽しめる小説だと私は思います。なんといっても「男の子」もワクワクすることがてんこ盛りの小説なんですから!
「孫子の兵法」、しかも、「結構」精通していないと書けないですよ、これ。「うろ覚え」は「キャラ」だけで、作者さまが「精通」しているからこそ書ける物語だと思います。多分「うろ覚え」キャラにして、読者に一緒に考えてもらうことを狙ってるんだろうな、というのが私の感想です。
ごめんなさい、この小説、ところどころに「読者」を引き込む工夫にあふれているんですよ。さっきの「孫子のうろ覚え」のところとか、「めちゃくちゃ」軽く始まる出だしとか、政治的なムーブに正当性をもたせるための「40歳」設定とか、なんというかですね。物語の「1つ1つ」を説得させる「理由」が「明解」で、読了感が半端なくいいんですよ。そして、このおかげで「テンポ」がものすごくいいんです。この小説。
正直、すごいな。と思います。「ライトノベル」といえば「ライトノベル」ですが、読了後に残っているものは「ヘビー」なんですよ。「私」には絶対に書けない、信じられない新時代の「ライトノベル」だと思います。
初日の行動がいきなりあっさり受け入れる、というものでなく、年齢を積み重ねている女性らしい行動から始まる丁寧な導入です!
自覚した後の行動も本人にとっては気が気でない状態だとは思うのですが、主人公の性格もあってか硬くなりすぎることなく、安心して読み進めることができました!
40歳まで独身という設定を生かした展開もあり、さらに年齢的に近いキャラの気持ちにも共感したりと随所に和みネタを散りばめてくれるため、飽きを感じることがありません!
また、1話単位が全て1000文字以下で構成されており、とても読み手に配慮された流れとなっているので、かなりとっつきやすいです!
まだ序盤まで読んだ限りですが、40歳まで独身という設定を生かした展開もあり、この先どのように行動していくかがとても楽しみな作品となります!
新谷百合、40歳独身。誕生日に女友達と深酒をする。
そんなシーンから物語は始まります。
そして、目覚めたら絢爛豪華なベッドの上。美しいお姫様になっていました。
最初は夢だと思いながらワイン飲んで美味いものを食べてゴロゴロしていたのですが、自分が乙女ゲームの悪役令嬢であり、断罪される運命だと理解してから行動は一変します。
自らの運命と闘う。つまり乙女ゲームに戦いを挑むのです。彼女を支えるのは孫子の一句(うろ覚えで若干の間違いあり)と40年の人生経験のみ。さあ、何を・誰を信じてどう行動するのが正解なのか・・・?命をかけた戦いが、結構コミカルに描かれていきます。
ラストシーンで明かされるのは驚きの真実。そして胸を打つ感動。
この物語、第一部完結です。と言うことは、続きがある!
第二部に備えて一気読みするなら今だ!
四十にして惑わず――不惑という言葉が『論語』にありますが、果たして彼女は惑わずに戦い抜くことができるのでしょうか。
主人公は40歳の新谷百花さん。
女の40歳というと、一般的には結婚していたり、もしくはバリバリに働いているようなお年頃でありますが、彼女は記念すべき誕生日の日に深酒からの転生をキメてしまいます。なんてこったい。
しかも転生先は、――いやいや、夢に違いない。わたしがお嬢様だなんてそんな。
エリザベトとなった彼女はマイペースに、ゴロゴロしたり父上との食事を楽しんだり、本当にマイペースに乙女ゲームの世界を〝夢〟として過ごしていきます。悪役令嬢なんだけどな。このゆっくりまったりとした作りが、物語世界にじっくりと引き込ませてくれます。
語り口が軽妙で読みやすいです。
これからの王太子との戦いに注目したいところ!