聖歌の成果に気づく時

僕は、その歌声に、恋をした。
シンギングチャームの不可視な音符を追いながら
レベル99の歌声に魅了される。
この能力だけでも充分なのに、
少年「J」は精霊王の能力の一端を担うことになった。
ずっとコンプレックスだった魔力ゼロが
こんな形で解き放たれることになるなんて……。

運命の出逢いがあり、家族の愛があり
胸を空く冒険の数々が彼の前に立ちはだかる。
『雲海にこだませし古代竜の咆哮』
そんな肩書で旅をしようと目論んだこともあった。
同郷の同志たちは、少年を危険な目に遭わせてばかり。
嫉妬や見誤った優越感が、少年との間に溝を作った。

彼はきっと世界一の勇者になるだろう。
冒険の続きは、この場所に躍動し続けている。

歌声魅了、あなたはパソコンの前で
若しくはスマートフォンの前で、タブレットの前で
若しくは書籍化された本書の前で
レベルMAXの歌声にうっとりしながら
次の一行を目で追っていることだろう。
そして、当たり前のように気づくんだ。
この聖歌の素晴らしさを、
この成果の偉大さを。

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