壁を極めて、きっと彼は勇者の頂きへ至る。正統派(?)異世界成長譚!

これは、人々を護る『壁』となることに憧れた、ひとりの少年の物語――

主人公の追放から始まる物語は当世多くあると思います。
が、本作は追放の理由がちょっと珍しく感じられ、それゆえに先が気になりました。
主人公の「ウォル・クライマー」は『壁』を作るスキルで勇者パーティの縁の下を支える立役者となっていましたが、危険な魔物の徘徊する壁外の領域へ向かわんとしていたある日、突如として追放を言い渡されてしまいます。
自分が勇者パーティを追放された理由を知って一度は絶望してしまいますが、それでもなお顔を上げて再起を胸に、自らの本分たる『壁』作りのスキルをさらに磨き上げることでこれまで以上の冒険者として飛躍してゆくウォルくん。この物語は、彼の研鑽と成長――と、それから折に触れて降りかかる女難――の物語です。

純朴で愚直で英雄志向なウォルくんは嫌味のない真っ直ぐな主人公。彼を取り巻くヒロイン達も各々よって立つところがはっきりしていて、振る舞いのひとつひとつが魅力的です。
主人公とヒロインの間の、あるいはヒロイン同士の間での、さらには彼ら彼女らを取り巻くキャラクターの間での、「それぞれの距離感」みたいなものが感じられ、作中の世界でひとりひとりがしっかり生きてる感じがします。

物語的にいつか最初の勇者パーティと再会する日が来ると思っているので、私的にはその時がたいへん楽しみです。いつ頃になるかなぁとか、再開した時に彼らはどんな会話を交わすんだろう――とか。想像するだけで楽しくなります。

自分はなんとなーく先の展開を予想しながら読んでしまう性質の読者ですが、キャラクターを追っていくだけでも楽しい作品だと思います。
少年主人公の成長譚とかいいね! 女の子がかわいいとなお素敵! という方は、是非お手に取ってみてください。

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