巻き込まれ体質だった女の子が、退魔師として成長して事件を解決していく

 物語の初めのころは学園モノなのですが、憧れの男性と再会を果たしてからは探偵モノ風味の事件解決屋稼業となっていきます。

 憧れの男性と一緒に、世間を騒がす摩訶不思議な事件に立ち向かっていくわけですね。

 退魔師の物語なので、魑魅魍魎と戦うことだってあります。

 この魑魅魍魎も、ただ恐ろしくて強い相手ではなく、各章ごとに登場する主要人物たちと関わりがありました。

 悪魔や妖怪の類は、人間の心の弱さにつけこんで、よりトラブルを拡大させるのです。

 本当に恐ろしいのは魔物ではなく人間の心であると、あらゆる創作物で語られてきたましたが、この物語も例外ではありません。

 主人公の女の子自体が、血縁や秘められた能力の関係から、トラブルに巻き込まれやすいため、人間関係で苦労しがちです。

 憧れの男性も、過去大きな事件に巻き込まれて、しかも退魔関係者の政治力学に絡んだせいで不名誉な立場に追い込まれています。たとえ実力者であっても、社会的な立場が悪いと正当な評価は受けられないんでしょう。

 そんな二人がコンビとなって、いくつもの事件を解決していきます。

 そうやって解決する件数が増えるほどに、主人公の女の子がどんどん強くなっていきます。退魔師としても、ひとりの人間としても。

 もしかしたら主人公の女の子は、いつか憧れの男性を飛び越えるほど強くなって、憧れの男性の社会的な評価を正当なモノに書き換えるのかもしれません。

 そのためには過去の大きな事件の真の解決が必須なので、その瞬間をひとりの読者として楽しみに待とうと思いました。

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