暗く演出された世界観で、ポジティヴ主人公がとても素敵

まず、自分はこの作品、最初はオカルト設定目当てで読みはじめたのですけど、主人公アリアのキャラが魅力的で、わりと瞬間で好きになりました。

個人的な印象として、世界観は中世か近世ヨーロッパ的で、しかしギリシア神話(的な過去)が史実としてあるifみたいな印象あります。ちょっとRPG的ファンタジー思わせる迷宮とかの設定や、(これは謎か世界観の示唆としても機能してるのかもしれませんが)イケメンなどの現代的表現がいい感じに馴染んでるようにも思いました。
作中、魔法の原理なども、わりとギリシア哲学よりな印象で興味深いです。そういうのが(神名を口にする演出なども含め)世界観的に、神々とかを神秘的に考えないでいいような背景とか、いろいろ可能性を広げている感じになっていて、考えるの楽しい、よきファンタジー世界と思います。
また、作中で時々示唆される世界の根本設定が、実際どのようになっているのか、わりと考えさせられるような造りにもなっていて、先の展開も気になります。

科学的知識というか、そういうのと関連する平均的な倫理観とか常識も、基本的に古い時代風。それで、物語構造的に、それこそ時代精神の壁などぶっ壊してくれそうなポジティヴ精神が、まさに物語の主人公的と思われるアリアの目を通し、ギャップを上手く描いているように思います。
ようするにやや風刺的ぽいのですが、そのために暗さを増してる感じな世界観が、前向きな主人公をより魅力的に見せているというか。
とにかくアリアはとても強い子で、その魅力で味方を増やしていく流れはけっこう爽快とも言えると思います。素敵な物語です。

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