生きるとは何なのかを考えました

片や、あふれんばかりの才能をやすやすとほしいままにしながらなおとどかないものを探し求め続け、たどりついた先の死。命の火を激しく散らす光に魅入られたぜいたくな死のように思えました。彼はそれで満足だったのでしょうか。あるいは、一生をかけて追い求めたものがその程度だったと悲観してのことだったのでしょうか。

どんなに激しく炎を散らしても、冷え固まってしまえばただの冷たい鉄のかたまり。

炎の先にある冷たい永遠を、一瞬にして見通してしまったのかもしれないと思いました。

そして主人公である「私」は、彼と違う凡人として、今ある熱と炎をすこしずつ燃やしていくことを選択したのではないでしょうか。そのようなことを考えさせられる物語でした。

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