あとがき

 これまで黒色火薬について色々と調べた内容をブログ(01)に書いてきた。その量がかなり増えたので1回どこかでまとめたいと思っていたものの、単なるエピソードの羅列になりそうだったこともあって見送ってきていた。最近になってターチンの「4つの軍事革命」説(第1章)を見つけ、これを使えば黒色火薬の歴史を整理できるのではないかと思い付いたのが、この文章を書いたきっかけだ。

 実際に書いてみると、大きな流れにまとめるために調べた内容でも省略した方がいいものもあったし、逆に不十分にしか知識がなかったところについて改めて調べる必要も出てきた。歴史の広い範囲にわたる話を載せているので、おそらく内容面では調べ方の甘い部分もあるだろう。あくまで現時点での知識を整理したら、このような風景が見えてきた、という内容の文章である。内容的には小説サイトに投稿するのが適切とも思えないが、カクヨムに置くことでまとめて読めるのは大きなメリットだと考えている。

 最近ではこうした大きな歴史を描く際に、データや統計を使って自説を裏付ける書き方が増えてきている(02)。ただしこの文章ではその部分はターチンの説に依存し、黒色火薬を巡るナラティブな歴史に絞って記述した。「歴史」ではなく「歴史エッセイ」としたのは、それが理由だ。そのうち誰か火薬革命に関する統計データを作成、活用して、軍事革命の実相を調べる研究者が出てきてくれるのではないかと期待している。



01 https://desaixjp.blog.fc2.com/

02 トマ・ピケティ, 21世紀の資本 (2014); Scheidel, The Great Leveler (2017); Turchin, Ages of Discord (2016)など

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終わりと始まり ―火薬革命の900年― @desaixjp

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