優しい世界の、優しい人びとの物語
- ★★★ Excellent!!!
令嬢スウミは愛人の子、しかもスウミが生まれたことで父公爵は離婚、財産を失ってしまった。その借金を返さなければこんどはスウミが借金取りの「愛人」にされるという運命が待っている。
スウミの弱みにつけ込んだ第二王子はモンスターにスウミを襲わせる。絶体絶命のスウミはなんとか救われたものの、こんどは「第一王子派になれ」と強要され…。
どうしようもない苛酷な世界のように見えますが。
でも。
この世界の人たち(人以外も)、みんな優しいのです!
ひどいことをする人たちも、優しいのです。
そして、令嬢スウミも、超のつく逆境にいながら、優しい。
スウミは、身の上に理不尽なことが起こっても自分で何とかしようとがんばります。
作者のゴオルドさんは、勤め先の社長が逮捕されたり(『弊社の社長が逮捕されまして』)、カタギとは思えない男たちの熱いドラマが展開する横でどら焼きを食べざるを得なくなったり、夏山でいきなり襲う気まんまんのイノシシに遭遇したり(『光るウミウシのように生きたい』)と、さまざまな経験をエッセイに綴っておられる方です。
この物語を支える「優しさ」への確信は、その作者の体験に裏打ちされたものなのだと思います。
世界の優しさを信じて、この物語をお読みください!