少女が彷徨い泳ぐ世界の物語

※一章読了時点でのレビューです※

皆さん、世界観の作りこまれた美しいファンタジーは好きですか?

瞼の裏に浮かぶ綺麗な色の情景、音となってこちらの鼓膜を揺さぶるような言葉の数々、少し不思議な出来事が起こる世界で、チラつく不穏な影……。

少しでもビビッときた方にオススメしたいのが、本作品。
松下真奈さんの『青い半魚人』です。

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主人公は普通の少女・侑子。昔からよく「ある夢」を見ていた彼女は、ある日突然別の世界に迷い込んでしまう。その世界は、現実世界とは少し異なる「並行世界」と呼ばれる場所だった。
そこで彼女は様々な人と出会い、「夢」の意味を知り、そして時に悩みながらも自分の居場所を見つけていく──……。

そう。“別世界”や“魔法”といったファンタジー要素もありますが、この物語では同時に人間ドラマも描かれているのです。
加えて彼女に絡みだすのは、並行世界の複雑な情勢。この政治面や歴史がとにかくすごく練られている!!
不思議でワクワクするライトな魔法設定がありながら、実際に展開されるのは重厚なストーリーなのです。謎がさらなる謎を呼び、続きへ続きへとぐんぐん引き込まれるお話です。
気が付けば惹かれる、そんな魅力があります。

それを生み出しているのは、展開もさることながら、何と言っても松下さんの文章力・描写力です。
読んでいるこちらも並行世界に迷い込んでしまうような、鮮明で美しい描写には度々息をのんでしまいます。
まずは1話、覗いてみましょう。冒頭から既に素敵な描写に溺れること間違いなしです。
そこから先は、侑子ちゃんと共に迷い込むだけです。

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現時点で話数の多い作品ではありますが、1話の字数が少ないのでさくさく読めてしまいます!
重厚なストーリーとは言いましたが、様々な人間関係・人間模様が現れる会話は時にコミカルで、肩の力を抜けさせてくれます。
その緩急のつけ方もまた、この物語の魅力ですね。



重厚で深いファンタジーが読みたい方、ぜひどうぞ!!

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