注意!! この小説、小腹が空いたときに読んじゃダメです!!!!
なぜならもっとお腹が空いてしまうから……(経験者)
と、早速レビュータイトルと矛盾したことを言いましたが。
では「小腹が空いた時に読みたい」とはどういうことなのか?
それはこんな時です。
*何か小説を読みたいけど、今はあまり時間がない。ちょこっとつまむ感じで読みたい!
*文字を摂取する元気もない。でも文学に元気をもらいたい……!
そう、小腹とは「読書量の小腹」のこと。この物語は長編ではありますが、まさに小腹が空いた時にぴったりのグルメ小説なのです!
もちろん、本当に小腹が空いているときに読んでも良いと思います。きっとあなたの夕食・おやつがパンに決定されることでしょう。とにかく料理・食事の描写が美味しそうですから……!! 異世界で営まれるパン屋さんのお話ですが、美味しそうなのはパンだけに限りません。罪というやつです。
この物語の魅力はグルメの描写、だけではありません。
キャラクター、ストーリー……どの面を切り取っても“美味しい”!
主人公は異世界転生先でパン屋を営む少女シュテルン(通称テルー)。そこにやってきた魔王ドゥンケルハイト(通称ハイト)と、食いしん坊従者シュバルツ。その二人は何と、パン屋でバイトをしたいと言ってきて……!?
この時点で既に惹かれますよね。
ここから増える個性的な愛すべきキャラクターたち。展開されるコメディ・時々シリアスなストーリー。キャラの「関係性」も濃厚で、関係性オタクにも美味しいと思います。
そしてそして。長編なのに「小腹が空いたときに読める」とはどういうことなのか?
それはこの物語の読みやすさにあります。
一エピソードを短く区切った作者さんのお心遣いはもちろんのこと、作風として、擬音語が多いのです。そう、パン作りの時の。これがまぁ美味しそうで、まさに“サクサク”、読み進められてしまう!! 気が付けば完結まで導かれていること、間違いなしです。
様々な魅力を持つ小説です。
ぜひ小腹の空いたときに、いかがですか?
美味しい小説は好きですか?
本の中で読んだ食べ物を、食べてみたいと思ったことはありませんか?
こちらの作品は、食べ物がたくさん出てきて、登場人物たちがいつも楽しそうに作ってたくさん食べていて、その描写がとてつもなく緻密でどこから読んでも美味しい物語です。
小説の中に入りたい!そこで一緒に食べたい!そのパン買いたい!パンの話だと思っていたら和食も揚げ物もポテトフライもどかどか出てきて全部美味しそう!
という、食べ物大好きな方には夢のような小説です。小説の中に入れなくても、全部現実でも入手できる食べ物なのも嬉しいです。これ明日食べよう!と思ったら、その日一日あった嫌なこともいつの間にか忘れてしまう、そういう物語の魅力が詰まっています。
景色や小物も綺麗で、この世界の一部になって休日ぼーっと過ごしてみたい。
疲れているときも落ち込んでいるときでも読めて、お腹いっぱいになった気もしてくるとても素敵な小説です!!