暗殺者の条件

　――暗殺者として、最も重要なことはなにか。
　強さ、スキル、体格……そんなもの、もって生まれた『特異な才能』の前には、些細なことに過ぎない。その『才能』とは、すなわち誰よりも『普通』であることだ。
　隠密スキルはなくても良い。
　暗殺技術も、あるに越したことはないが、最低限で構わない。
　何故なら規格外に『普通』で、どこにでもいる人物像で、特徴という特徴が皆無な人物がいたとすれば、記憶にすら残らないのだから……。


　これは一人の暗殺者。
　誰よりも『普通』であることを活かして生きる少年の物語。