怪獣をめぐる壮絶な愛の物語

 これを愛と呼んでいいのか、けれども愛と受け取ってしまった私は、主人公の「るりちゃん」のことを考えてしまう。彼女は憎むべき怪獣のみぃちゃんを失った後、壮絶な人生を送るんじゃないかと。
 
 電子媒体ながら、何気なく開いた本の最後の1ページにがつんと顎を殴りつけられたような衝撃を受けて、ああこれが文学なんだよなぁ、そう思った。
 文学だった。
 怪獣小説、侮ることなかれ、これは愛と憎しみと虚無の物語なのだ。

 膝をついて項垂れたい気分になったのは初めてです。