六、スワロウへの手紙

1922年3月7日


親愛なる僕らの渡り鳥へ


 今日は、青春の幕がどのような粗筋あらすじのもとに下ろされるか、君に知らせておこうと思ってね。

 彼から返信が来たので、同封する。彼の買い被りと思い込みと、自身の弱さを打ち明ける恐れのなさは相変わらずだ。長々しいから、イースター休暇の読み物にでもしてくれ。


 彼は、自身に「貴族の頽廃たいはい」を認め、対して、僕は元より隣人愛を備えていたと思っているみたいだね。実のところ、僕はいまだに「劣等の頽廃たいはい」から抜け出しきれていない。つまり、恵まれた者たちのなかに、己の仇敵を見出す心を抱かずにはいられない。

 それでも、僕たちは自らの頽廃たいはいを知る者同士だ。隣人として愛するよう、お互いに努力できると信じている。


 君には感謝の念に堪えない。辛抱強く僕たちに付き合ってくれて、本当にありがとう。


 来週から茶摘みが始まる。初摘みの茶葉ファースト・フラッシュが出来たら、僕もロンドンに戻るよ。今年から、商社への初物の挨拶を任されることになったんだ。約束より早く、君と会えそうだ。

 実は、彼にも訪問したい旨を伝えている。もし、しと返ってきたときには、僕を勇気付けてくれ。

 彼をアーサーと呼ぶのは、なんだか妙な気分がするし、十二年振りに会うとなるなら、どんなことを話そう。今から落ち着かない。


 ともあれ、修論の執筆に忙しいところ悪いけれど、会えるのを楽しみにしている。たっぷりのミルクを用意して待っていてくれ、最高の茶葉を届けよう。それでは。


この夏、万事上手くいきますように


 君の厄介な旧友、サミュエル・ボウより

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コックロビンよ、さようなら。 小鹿 @kojika_charme

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