序盤からレビューを書きたいなぁと、キリがいいところまで読んだら……と思っていたら100話近くまで読んでしまった内容の濃さ。魅力的なキャラクターの数々。バトルの熱さ、カッコ良さ。これはすごいですよ。
それらに関してはいまさら言う必要もないかもなのですが、私が一番イイ!と思うのは『組織』の描写が素晴らしい。
様々な人間の情緒が織りなす人間ドラマは戦いに説得力を持たせ、話の基礎を確固たるものにする。敵側にも同じ様な序列があり、こちらもまたドラマがある。
この作品は、大人がしっかり楽しめる本格的な小説です。
真夜中にお酒を嗜みながら、じっくり読むのが良いでしょう!
この作品では、現代社会の裏に潜む吸血鬼との、血で血を洗う壮絶な戦いが繰り広げられていきます。
超常の力を使う吸血鬼との戦闘は、ご都合主義ゼロで圧巻の一言です。
銃やナイフ等の対吸血鬼用の武器や、吸血鬼達の使う異能など、設定がきめ細かく、それでいて自然に文章に織り交ぜられるので、読んでいて違和感を感じません。
そもそも文章も展開も、テンポが良いです。凄くリズミカルに読み進められるので、気付いたら一話二話と、どんどん読み進めてしまいます。
かく言う私も、「今晩は少し読んだらレビュー用のコメントまとめよう!」と思って読みはじめて、気付いたら一章丸々読んでしまい、満足感で眠ってしまうといったケースが何度もありました。焔コブラ様、本当に申し訳ありませんm(__)m。
ストーリーもシリアスに寄っていて、手に汗握る展開が続きます。特に序盤を越えて以降くらいからは、容赦の無い流れが連続してきます。
主人公を含めて、甘えきった性根のキャラクターがいないのも、シリアスさに拍車をかけてますね。覚悟は決まってるけど、でもどこかに弱さが窺えると言うか、人間らしさもあってという感じで、魅力的な登場人物が多いです。
読み進めるのが勿体無いくらいの、完成された濃厚な作品でした。シリアス展開や現代ファンタジー好きの方にはぜひ読んで貰いたいです。
24話まで/「アマルガムの繭(前編)」を全て読んだところでのレビューです。
内容に関してはあらすじにある通り、また他の方のレビューにもある通りで、現代に生きる「吸血鬼殺し」の主人公がメインとなる物語です。
とにかく努力を重ねて頑張る主人公を応援したくなるのは無論、自分が特に引き込まれたのは登場人物達の「台詞」でした。
一言一句考え抜いた上での台詞なのか、実は勢いのままに書いた結果なのかは知る由もありませんが、台詞の節々から登場人物達の内面が垣間見え、作品の奥深さを感じられました。
読むかどうか一瞬でも迷ったら、まずは読んでみることをお勧めします!!
現代ダークファンタジー物ですが、かなり厳しめの設定となっております。
人間社会に溶け込む吸血鬼達と戦う秘密組織のお話。
人間側は敵に通用する武器を持っていても等身大の力しかないので、それはもう犠牲者が大量生産されていきます。
味方サイドにもそれなりに強い人はいますが、そんなのお構いなしでいつも人間は不利。
チートな能力?オレTueeeeな存在?御都合主義な展開?
そんなの人間の命が紙くずのようなこの世界が許してくれません。
世間に認知される事もなく、世間から賞賛される事もない。
それでも「人を侮るな!」と言わんばかりにただ愚直に、諦めず、貫き通す姿。
人間の敵を許すな!牙を突き立てろ!と奮闘する姿は、この暗い暗い世界を照らす微かな光。
ぜひ彼らの活躍をご覧ください。
尚、蚤のような心臓しか持っていない私はいつもハラハラされっぱなしです 笑
ダークファンタジーの香り漂う現代ファンタジーです。
舞台は異世界ではなく現実。ただし吸血鬼と死闘が繰り広げられる世界。
まず作品全体を包み込むかのような、ダークな雰囲気がかっこいいです。
それは吸血鬼という圧倒的な敵の恐ろしさであり、主人公の少年『九竜朱仁』や仲間たちが抱える心の痛みでもあります。
バトルものですが、なぜ戦うのか? 命とは? 絆とは? といったテーマを深掘りしていきます。キャラクターたちの葛藤が、物語により一層、重みを与えていると言えるでしょう。
修行シーンや心理描写もしっかり書き込まれています。そしてバトルシーンも圧倒的。武器も体術もかっこいい。
といっても最強主人公がスカッと敵を倒したりは、絶対しません。
とにかく吸血鬼は、絶望的なほどに強いのです。圧倒的強者です。そこに立ち向かっていく勇気と決意は並大抵のものではありません。
安易な勝利ではなく、己と向き合う硬派なバトルを読みたい方におすすめです!!
本作は、懸絶した力をその身に宿す吸血鬼と、それを滅ぼす人間達の戦いの物語です。
あらすじやキャッチコピーの雰囲気でだいたい察せられるとは思いますが、「怪物どもをぶち倒してスカッと爽快!」などという物語では、残念ながらありません。どちらかというとハードでスタイリッシュな、夜の領域に属する系統の物語です。
びしりと決まる上手い形容が思いつかないので雑然と並べたてる形となりますが、思うにこれは、夜のような翳りと、熾火のような熱と、血風のような残酷さと、鋼鉄の如く揺るぎない信念と、雨が立てる波紋みたいなゆらぎと、いつだって気の合わない友人のように背中へへばりついた死と断絶の。
そうしたものの物語ではないかと感じます。非常に具体性を欠いていますが。
物語そのものは吸血鬼退治を骨子に据えた非常に王道のものなのです。だからというべきなのか、私にとって特筆すべきは、その物語から放たれる「空気」なのです。
硬質で、乾いて、くすんで、それでいて確固たる輪郭と骨子を備えた物語の空気です。
まずどうか紐解いてみてください。
願わくば、腰を据えて向かい合ってみてください。
刺さると、なかなかに酔えますよ?
――と。
思うに本作は、そんな装丁の物語なのです。
スーツを着て吸血鬼達と戦う主人公達がとにかく格好いいです!
武器の名前や、それぞれの戦闘スタイルなどにもこだわりが詰まっているなと思うのですが、一番作者の想いが詰まってるのはセリフなのではと思いました。
まるで映画のような格好いいセリフに痺れます!ただ格好つけているだけではなく、そこには哲学が秘められています。
なぜ、戦うのか。どうして、殺すことを躊躇うのか。なぜ、自分は今ここにいるのか。戦闘を描く作品は多くありますが、そこの葛藤を丁寧に描いているのがこの作品の素晴らしいところです。
キャラそれぞれの秘められた過去も気になりますし、吸血鬼サイドにも色々因縁がありそうなので、この先も楽しみに読み進めていこうと思います!
最新54話まで読んでのレビューです。
硬質の文章でぐいぐい来るのが何よりの特徴です。
改行と行間の開いたスタイルに慣れている方には、読みにくさもあると思いますが、食わず嫌いはせず、まず最初の数話を読んでみてください。
1話あたりの文字数も多くないので、抵抗なく読めるはずです。そして、引き込まれていくはずです。
主人公は男子高校生の九竜朱仁です。何者かに襲われていた彼は、とある謎の美女に救われたところから物語が始まります。彼を襲ったのは、吸血鬼でした。
謎の女の誘いのまま、彼も怪物殺しを生業とする組織に身を投じていきます。
1~24話が出会いから訓練編、25~44話が吸血鬼登場からバトル序盤、45話以降が吸血鬼との本格バトルといった流れで進んでいます。
ダークです。なぜ吸血鬼が存在しているのか。なぜ戦うのか。登場するキャラそれぞれが葛藤を抱いています。その辺の心理描写もしっかり描かれています。
本作、まだまだ謎だらけです。これから、少しずつ解き明かされていくことでしょう。主人公自身にも謎があります。
今、本当によいところで、更新が待ち遠しい作品です。この機会に、ぜひ一読してみてください。
昨今、鬼や妖怪を退治する物語が流行っていますが、こちらの作品は吸血鬼を退治するお話です。
主人公の高校生は何の目的もない日々を送っていました。そんな日々にピリオドを打つべく、吸血鬼を退治する組織の女性からスカウトを受けます。そしてそれを受諾する主人公。そこから吸血鬼との戦いの日々が始まるのでした。
ストーリーは王道をなぞりながら、本作の主題は吸血鬼と戦う個性豊かな面々がなぜその戦いに身を投じるのか、その心理を深掘りしていくところにあります。正義とは何か?そして人はなぜ生きるのか?この物語を読めば、きっとあなたもそんな人生の命題に心を馳せることとなるでしょう。
本作に登場するキャラクターは、それぞれどこか影を感じさせ、それが吸血鬼との戦いというテーマの世界観と非常にマッチしています。
主人公もまた、そういった側面を抱えており、年齢よりも達観した印象を与えます。
が、修行シーンでの師匠を最初は怖い人という印象で見ていましたが、徐々に相手の気遣いや優しさに気付いていき、最後の方では自らの身体的成長だけではなく、心身ともに強くなった様に感じた事から、きっと主人公は師匠に一種の父性を感じたようにも思え、どこか人との繋がりを求めている側面があるんじゃないかと思わせられました。
個人的には飲食のシーンが細やかで、キャラクター達が物語の中でしっかり生きている生活感を感じさせられるのも、作者様である焔コブラ様の描写力の高さを感じさせられました。
キャラクターや世界観に感じさせられる、魅力的な影と、これから主人公達が切り拓いて行くであろう光を是非感じて頂きたい本作です。