この世のすべては諸行無常、盛者必衰のことわりを表す

ひとこと紹介に書いた諸行無常はおそらく仏教の言葉で、ユーゴー帝国はどちらかといえば洋風に近い文化を持っていると思われる一神教の国なので、ここで使うのはそぐわないかもしれませんが。歴史というものはいつの時代もどの地域も長くて数百年、あのビザンツ帝国でさえ千年ほどで滅んでいるのですから、私はそういうものなのだと思っています。
作中の舞台であるユーゴー帝国は作品の冒頭で200年ぐらいの歴史を持っていたようですが、その歴史は血塗られたもので、周辺各国の犠牲をともなう苦い統治だったみたいです。
そんな中生まれた第三皇子ハーレイは、最初はちょっとへたれたところのある可愛らしく子供らしい子供だったのですが、有能な教育係・ライサンダーによって丁寧な帝王教育を受けたことによって立派な大人になり、帝国にまつわる悲劇の主役に躍り出ていくことになります。
この作品を読むことによってユーゴー帝国の歴史を追体験してくださると、レビューを書いている私も嬉しいです。