フェチ?

「……おはよう。二人とも」

「おはようございます」

「おはよ」


 珍しく私が起きたら二人ともベッドから起き上がっていたので、少し戸惑いつつも挨拶をする。

 まぁ、今日はナナと合流予定だし、流石にいつもみたいに流されて……っていうパターンがなさそうで良かった。いや、もしそうなりそうでもちゃんと拒否したけどね!?

 と、ともかく早く朝食を食べて……そこまで考えて気がついたけど、私たち待ち合わせ場所とか言ってなくない? 


「そ、そういえばなんだけどさ、待ち合わせ場所とかってあったよね?」

「私がちゃんと門の所と言っているので大丈夫ですよ」


 よ、良かった〜。ルーファが有能すぎるよ。

 

「ありがとう、ルーファ。私完全に忘れてたよ」

「大丈夫ですよ」




 それから私たちは朝食を食べて、宿を出た。

 宿を出る時にマップを開いて気づいたけど、最悪待ち合わせ場所とか決めてなくても、マップで探せたね。

 その間ナナの事を不安にさせたかもしれないし、そうならなくて良かったけど。


 適当な雑談をしていると、あっという間に門が見えてきた。

 門の前ではナナが少しソワソワしながら待っていた。

 ナナが私たちに気がついたみたいで、大きな声で私の名前を呼びながら手をブンブン振ってきたから、ちょっと恥ずかしかったけど、私も手を振っておいた。

 マップを開いてたし、いるって分かってたけど、実際に目にすると安心するね。


「久しぶり!」


 門に近づいていくと、私にそう言って抱きついてくるナナ。


「まだ2日ぐらいしか経ってないよ」


 取り敢えず受け止めてそう言っておく。

 少しすると、ナナが私の胸元に顔を埋めて、鼻の音が聞こえてきた。……なんか匂い嗅がれてない?!


「ちょ、ナナ!? い、一旦離れて!」


 私は無理やり、と言っても力を込めすぎないようにしてナナを引き剥がす。


「な、何してたの?」

「抱きついてただけだよ?」


 ナナは何事も無かったかのようにそう言ってくる。

 そう、だよね? 流石に私の気の所為だよね? いや、仮にナナが匂いフェチとかだったとしても別にいいよ? 私人の趣味とかフェチとか否定するタイプじゃないし。否定する気は無い、ないけど、恥ずかしくないかと聞かれたら話が変わってくるし、臭かったらって考えると、せめてお風呂に入ってからにして欲しいんだけど……気のせい、だったのかな?


「は、早く出発しよう」


 私はそう言ってそそくさと門を出た。

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