私が悪い訳では無い
スキナヒト? ダレガ? ダレを?
取り敢えず私は手を上に挙げて無実をアピールする。
私は改めて私に抱きついてきている女の子を見る。……白い髪の毛で髪が短くてふわっとしてて可愛いなぁ。はぁ……現実逃避をしてる暇はないよね。どうしよう。
私は最後の希望を託してマップを開く。
そこにはピンクの点が三つ存在していた。
一夫多妻制とかって言うけど、女の子同士だとなんて言うんだろうなぁ……一妻多妻制とか? 語呂が悪いね。
「ユアさんは本当に女たらしですね」
「ん」
ルーファがそう言って、フィオが頷く。
待って待って! そこだけは否定させて欲しい! 私は断じて女たらしなんかじゃない! 私の出会う女の子がちょろすぎるんだよ! ルーファに関しては、まぁ……掟だったし、あそこに私を送った神様が悪いとして、フィオとこの子についてはどう考えても私は悪くないよ。だってフィオは私の魔法を見て一目惚れでしょ? そんなの普通に考えてありえないでしょって感じだし、この子は……なんで?
「私は女たらしでは断じてないとして、えっと……あなたはなんで私の事が好きになったの? 後場所を変えませんか?」
さっきからジロジロ見られてるんだよ。声は聞こえてないだろうけどさ。
てか今の私たちを他人から見たらどんな感じなんだろうね。私に勝負した女の子が抱きついたかと思うと、他にも女の子が二人出てきて、私が腕を上げ、無実をアピールしている。
……これ女の子同士だから大丈夫だったけど、女の子同士じゃなくて男女だったら確実に修羅場だと思われてそうだね。
「僕はいいよ。あなたと一緒に居られるなら」
ボクっ娘なの!? 初めて見たんだけど。
「……そっか〜」
「私もいいですよ」
「私も」
場所を変えるために私たちは歩き出した。
そしてその子は今も尚私に抱きつきながら歩いている。
抵抗しないでいたら、ルーファとフィオに手を取られた。
抱きつかれながら、二人と手を繋いで歩く私。当然ながら注目は集めるよね。何より私以外みんな美少女だしさ。
「……そう言えばあなたの名前は? ちなみに私はユアだよ」
「あっ、僕はナナっていうんだ。これからよろしくね! そっちの人達はなんていうの?」
「私はルーファですよ」
「フィオ」
「ルーファにフィオね。二人もこれからユアの三人目の嫁としてよろしくね!」
「はい、よろしくお願いします」
「ん」
……ん? あれ、なんか今さらっと私の嫁増えなかった? そもそも、私たちまだ結婚してなくない!? え? 私の認識的には二人と付き合ってるって感じだったんだけど!?
「ま、待って。色々言いたいことはあるけど、なんで私たちがそういう関係って分かったの?」
「見てたら分かったよ」
……そんなに人前ではイチャついたりしてないはずなんだけど。
「ユアとか私と腕相撲する前頭撫でられてたじゃん」
「あっ」
「恥ずかしそうにしてたけど、すごい嬉しそうだったし」
「も、もう分かったから! ちょ、ちょっとだけ黙って」
「ユアさんが言ってくれたらいつでも撫でますよ?」
「ん、私も」
「ち、違うから! ナナの勘違いだから!」
「嬉しくなかったんですか?」
「私はユアに撫でられたら嬉しいのに」
余計な事聞かなかったら良かった。本当に泣きそう。恥ずか死ぬ。
「う、嬉し、かった……です」
「もう、本当にユアさんは可愛いですね」
「か、可愛くないから!」
そう言うとフィオは無言で撫でてくる。
私は思わず頬がにやけそうになるのを必死に我慢する。これ以上からかわれたら話が進まないし。
「嬉しそうですね」
ルーファがそう言ってくる。
「べ、別に……嬉しくない……こともないけど」
また何かを言われる前に私は話を変える。
「と、とにかく! なんでナナがもう私と……その、結婚することになってるのって話をしよう!」
「えっ……僕じゃだめ?」
うっ、だめ……っていう理由がない。別に私もナナのことが嫌いってわけじゃないけど……だって、三人目って……いや、二人も三人も、もう今更変わらないかもだけどさ。それでもなんか抵抗があるんだよ。
「だめってことはないけど……その、複数人と付き合うとか結婚するってのにちょっと、未だに抵抗が……」
「え? でも、もうユアは二人いるよね?」
「うっ」
「……やっぱり僕が嫌?」
ナナは今にも泣きそうな顔で私を見つめてくる。
「ち、違うから。ほんとに違うから」
なんとなく私は答えが分かっているけど、二人にナナとも付き合っていいのかを聞いてみることにした。
「二人は……いいの?」
「大丈夫ですよ」
「ん」
私はナナに向かって言う。
「えっと……私と付き合ってください」
「もちろん!」
そう言ってナナは私に抱きついてくる。私はそれを受け止め、冷静に考える。
私は恋人二人の前で、なんで告白してるんだろうと。
そして誓った。もう絶対ハーレム要因なんて増やさないと。
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