車胤 蛍の光の結末
「あの子はそなたの家門を大いに興すこととなろう、学問に専念させてやりたまえよ」
こうした後押しも受け、車胤はうやうやしく努めながらも学問に邁進、広範なる知識を備えるに至った。家は貧しく、照明のための油を得るのすらひと苦労であったため、夏になると油紙の中に数十もの蛍を捕まえ、それを照明として読書に励んだ。成長すればその立ち振る舞いも洗練され、機智にもとみ機転も速く、南平きっての後進と讃えられるようになった。
やがて中央入りするとその並外れた学識を元手に出世を遂げ、
この頃、
これに対し、車胤が言う。
「なるほど、
これを公表したかどうかは謎だが、ともあれ車胤は王国宝よりのこの申し出を、病を理由に賛同しなかった。そして王国宝が司馬道子についての昇進願いを出せば、車胤の予測通り、
間もなくして、車胤は死亡。朝廷はその死を傷んだ。
車胤,字武子,南平人也。曾祖浚,吳會稽太守。父育,郡主簿。太守王胡之名知人,見胤于童幼之中,謂胤父曰:「此兒當大興卿門,可使專學。」胤恭勤不倦,博學多通。家貧不常得油,夏月則練囊盛數十螢火以照書,以夜繼日焉。及長,風姿美劭,機悟敏速,甚有鄉曲之譽。遷驃騎長史、太常,進爵臨湘侯,以疾去職。俄為護軍將軍。時王國寶諂于會稽王道子,諷八坐啟以道子為丞相,加殊禮。胤曰:「此乃成王所以尊周公也。今主上當陽,非成王之地,相王在位,豈得為周公乎!望實二三,並不宜爾,必大忤上意。」乃稱疾不署其事。疏奏,帝大怒,而甚嘉胤。
隆安初,為吳興太守,秩中二千石,辭疾不拜。加輔國將軍、丹陽尹。頃之,遷吏部尚書。元顯有過,胤與江績密言于道子,將奏之,事泄,元顯逼令自裁。俄而胤卒,朝廷傷之。
(晋書83-4)
「蛍の光、窓の雪」で有名な車胤さん。「自殺しろ」とは言われましたが、自殺とは書いてないんですね。なんでしょうかねこの気持ち悪い含み。
『
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884883338/episodes/1177354054885702502
では
識鑒27
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884883338/episodes/1177354054886298118
で、この伝にもあるように蛍の光で学習したエピソードが載せられます。ただ世説新語にも、晋書にも「窓の雪」の
https://kakuyomu.jp/works/16816700428584992583/episodes/16817330652395899136
元ネタは『
ちなみに車胤さんは礼志で大活躍しています。
https://kakuyomu.jp/works/16816452219408440529/episodes/16817139557167449553
https://kakuyomu.jp/works/16816452219408440529/episodes/16817139557226259485
https://kakuyomu.jp/works/16816452219408440529/episodes/16817139557309639150
https://kakuyomu.jp/works/16816452219408440529/episodes/16817139557447117098
https://kakuyomu.jp/works/16816452219408440529/episodes/16817139557582287965
無双、とすら言っていいレベルです。そりゃたたき上げな人物なのにもかかわらず侯爵にまで封じられるわけです。やばたん。
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