第4話 未解決な親子

ぽつぽつ……


ぽつぽつ……



ぱらぱらら……



『ママ?泣いてる。』


『?』


『太陽さんが、



『はぁ、そうね。』



外には雨が降っている。

子供の感性……疲れるんです。



そうね。

そう、そう。



喜べなくて……



お悪いのですか?』



『…………や……だ。』


『?』



『昔に、返りたくなくて、、、』

『ほう?……それで?』



『嫌です。嫌なんです!』




ぽつぽつ……



ぽつぽつ……




ぱらぱらら…………



『や……だ……』




『目を見せて下さい。』





『……だ……や……だ……。』




『次は、口を開けて?』







その時の……甘い香り、、、


忘れない。





ホットミルクを作っては。

この子に飲ませて、




私は…………





ふくよかに育って、

さぞや、おいしいでしょう。







ぽつぽつ……



ぽつぽつ……




ぱらぱらら…………。





ぽつぽつ……




ぽつぽつ……





ぱらぱらら…………




手を伸ばし一気に

締め上げる。




無垢な瞳は、

疑いもせずに、まっすぐみつめる









その子は、言う。



『ママが泣いてる。』





空を見上げながら。




『ママ?もう大丈夫だよ。

泣いちゃダメだよ?』




ぱらぱらら…………。





手から、力を抜くと……

その子は息絶えた。




ぽつぽつ……



ぽつぽつ……




ぱらぱらら……





幸せになれないのは……

この子ではなくて





私が未解決事件の連続殺人犯

だから。




はらはら、と初めて涙を流すと、




空から、声が聞こえていた。







『ママーー、産んでくれて

ありがとう』



『僕は……空高く、天国へ行くよ。ママ?泣いちゃダメだよ。』





『僕は……邪魔したんだね。』




『ごめんね。ママ?』




いつかまた、

きっと逢おうね!






ホットミルクを飲んでいた天使は

私が殺した。



そう…………




もう5人目。


天使を作っては殺し…………

殺しては、作って……。




そう……



未解決な女なの。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る