where the streets have no name
- ★★ Very Good!!
U2に表題の曲がある。
この曲の構成全体の内、ほとんどがイントロで、歌が始まってもヒラウタのまま、しゅっとタイトルを歌って終わるような歌だ。なのにとてもドキドキして、聴かせるのだ。そしてそれが、タイトルと合っていててえてえのだ。
上手い文筆家は、とくに事件が起きていなくても読ませることができる。
この作者様が目指しているのはそういうところではないかと思う。日常のやりとり、なにげないやりとりには、センスと信念が見え隠れする。
web小説はとかく、ト書きのようにひたすら事象を羅列する形式も多いが、日常描写を丁寧にすることでまるで物語の世界に没入したような…そんな気持ちをつくることができる。
今のところ何も起きていないこの小説は、きっと僕らに、あらたな青春の記憶をつくってくれるのではと思う。