where the streets have no name

U2に表題の曲がある。

この曲の構成全体の内、ほとんどがイントロで、歌が始まってもヒラウタのまま、しゅっとタイトルを歌って終わるような歌だ。なのにとてもドキドキして、聴かせるのだ。そしてそれが、タイトルと合っていててえてえのだ。

上手い文筆家は、とくに事件が起きていなくても読ませることができる。

この作者様が目指しているのはそういうところではないかと思う。日常のやりとり、なにげないやりとりには、センスと信念が見え隠れする。

web小説はとかく、ト書きのようにひたすら事象を羅列する形式も多いが、日常描写を丁寧にすることでまるで物語の世界に没入したような…そんな気持ちをつくることができる。

今のところ何も起きていないこの小説は、きっと僕らに、あらたな青春の記憶をつくってくれるのではと思う。

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